GID性同一性障害・ジェンダークリニック  診療科目:形成外科、美容外科、麻酔科(厚生労働省麻酔科標榜認可番号7903号)

睾丸摘出MTF


Y.M.さんの睾丸摘出経験談です。

1 手術にいたる経過

2013年11月14日、当院にて、手術を受けました。

手術までの経過、手術の実際、術後の経過と現状を体験記を寄稿させていただきます。

手術を考えている方、関心のある方の参考になれは幸いです。

私は2011年4月、当院にご紹介いただいた、メンタルクリニックから性同一障害の診断書をいただきました。

本当に嬉しかったです。女性のように、考え、装い、喋り、行動する。そういう自分は異常な人間ではないかと半世紀も苛まれて続けてきたのですから。科学的な知見に基づいて肯定していただき、神様からも全部良いんだよと言われた気分でした。

ところが、幾らもたたないうちにあることが私を困惑と動転させることになりました。

診断をいただく前も、ごく普通にあったであろう、自分の意思とは関係なく、日に数度襲う、下半身の男性のシンボルの膨張です。

診断を頂いたことを契機に、自分は女子だとようやく、確信をもて始めたときに、日に数回、そうなることで、嫌悪感、おぞましい感じに苛まれはじめ、日に日にその度合いが増していきました。

加えて、2009年、年末から開始したホルモン治療が、3年を迎えつつあるのに、男性ホルモンの低下がはかばかしくないことも悩みを深めました。

女子なのにいつまでも男性ホルモンが私の体の中で分泌され続け、執拗に居座ることにです。

2013年6月頃、大谷先生にこのような悩みをご相談したところ、ホルモン治療のバラェティの説明に加えて、取ることもオプションの一つだと仰って頂きました。

それを期に、手術が私にとって具体的な選択肢に浮上しました。その頃、試みていた複数のホルモンを組み合わせた治療の効果が判明する8月に決断しようと思い定めました。

8月に入り、ホルモン治療の効果がはかばしくない結果が判明したのを受け、手術を決断しました。ホルモン治療の効果が発現しないことを、何かほつとした気持ちで受け止めた記憶が結構鮮明に残ってます。

6月に先生から手術を示唆されて以来、手術を志向する気持ちが日に日に高まっていたのだと思います。手術を決断してとてもすっきり清々しい気持ちになりました。

そして、仕事などスケジュールを調整すると11月14日に実施することを決定しました。

2.手術の実際

2013年11月14日16時から手術でした。事前の説明で、局部麻酔で1時間程度で終了。1時間程度休んだら帰って良い等、大仰な手術の割には、ものすごく簡便な印象を受ける説明をいただきました。それでも術後何かあったら大変なので、クリニックの側のホテルを教えていただき、その日はそこに泊まることにしました。

8月に手術を決意してから基本その日が楽しみでしたが、やはり他の方の体験記等を読むと、手術中の痛みと、術後、鬱状態になるのではないかとの不安が払拭できませんでした。しかし、事前の説明で、術中の痛みは、局部麻酔を痛みの反応をみながら足していくので大したことないとの説明でした。また、鬱状態については個人差が大きいので一概に言えない。迷って手術をされる方にそのようなことはあるかもしれないが、私の場合はやりたくてやるのだから大丈夫ではないかとおっしゃっていただき何となく得心したことをよく覚えています。

当日は午前中は平常勤務。午後休を取り、手術に備えました。よく行くメイクサロンに行き勝負メイクをしていただき、お洋服も、オーダーメイドで作った勝負ワンピースを着ていざ出陣。

クリニックに着くと処置室に通され、下半身に纏っているものを全て脱ぎ、ワンピースを上に上げて、ベットに仰向けに寝かされ、下半身に布をかけられ、何が行われているかは見えなくなってしまいました。

先生に笑気麻酔をかけていただき、しばらくたってから、局部に麻酔を注射されました。ほとんど痛みはありません。そしていよいよメスが入りましたが、当初ほとんど痛みはありませんでした。内部にメスが進むにつれ、漸く痛みを感じ、その旨、訴えると、更に麻酔を増量注射され、すぐ痛みは治まりました。
※麻酔は、局所麻酔、静脈麻酔を選択できます。

術中、局部の中をかき回されたり、引っ張られたりの違和感と鈍痛は終始ありましたが、決して耐えられないようなものでは全くありませんでした。痛みに関しては、全く想定以下でした。それより、内容は忘れてしまいましたが、術中、先生がいろいろ話しかけて下さり、痛みを感じるよりは楽しく過ごせたことが印象深いです。

そのうち先生が「取るからね」、私が「はい」、先生が「取れたよ」、その瞬間、切り離された痛みをチクリと感じたような気がしましたが、感覚はすごくあっけなかったです。「見る」と言われて物体を見せられたとき、なんか肉片がころがっているだけという印象だけで、ほとんど感慨というか印象はありませんでした。「いる?」と尋ねられ、「いりません」とお答えしつつ、いるわけないじゃないと自問自答した記憶があります。この間、手術開始から30分もかかっていなかったと思います。

おなじことをもう片方にも繰り返し、先生とお話をしているうちにあっけなく終わりました。

今まであったものが切り離され、切断された喪失感・痛みというよりは、何となくの鈍痛と、患部を覆うために被されたサポーターの違和感とが下半身全体に感じられました。一時間ほど、処置台の上で、安静に、休まされました。処置室で一人だけになると身体をほんの少し心に近づけられた感動というか喜びが体中、いや心の中一杯に広がっていくことが感じられました。

一時間後に、ガードルこそは履けませんでしたが、下着とストッキングを着け、普通に立って、クリニックを後にしました。痛みより患部を覆っているサポーターの違和感で少し歩きずらいと思ったものの、全くと言って良いほど、何の支障もありませんでした。

そんな状態だったので、その晩は、ご紹介いただいたホテルに直行せず、アルコールこそは取りませんでしたが、お友達と会って、報告会・お祝い会をしていただき、ホテルに戻った時は深夜0時を回っていました。その晩はシャワーも控えて、達成感に包まれて安眠しました。 3.術後の経過と現状(1)

手術の翌日にはシャワーを浴び、3日後に、患部を覆っていたサポーターを外していただくため先生に見ていただき、問題無しとのことでした。

ところが、その後、しばらくの間、患部に、やや想定していた以上の痛みが間歇的に一ヶ月くらいは続きました。日常生活に支障を来すというほどのものではありませんでしたが、鬱陶しいことは否定しがたかったです。

それ以上に驚いたのは、切り取った後の精索が半月位は腫れたことでした。当初は、睾丸を取ったの?と思えるくらい腫れていたようです。ないはずのものがまだあるくらいの大きさを感じました。あれだけのものを切り取ったのですから、麻酔が切れた後はそれなりの痛みはあるだろうと得心しつつも、不安な気分が抜けませんでした。それ以外は心身に変化は感じられませんでした。

それより鬱状態の不安については、手術をした高揚感というのでしょうか、躁状態といったら言い過ぎでしょうが、基本嬉しい気持ちがずっと継続したことが驚きでもあり、不安でもありました。この高揚した気持ちがどこかで反転するのではないかと…

術後半月ほどからは、海外出張や、業務繁多で徹夜に近い状態がしばらく続きましたが何の変調もありませんでした。術後一ヶ月後、いつものことですが、100人ほどの人前で講演をする機会が巡ってきて、人前に立って術前と同じようにこなせるかと不安になりましたが、杞憂に終わりました。

術後一ヶ月程の患部の痛みもその後無くなり、基本高揚した気分で過ごせていて、本当に男性ホルモンは無くなっているのだろうかという不安の方が募りました。年明けの2014年1月に血液検査をしていただき、ホルモン注射二週間後の数字が、男性ではあり得ない、女性の平均値でも低い方の数値が出たときは、改めて手術をして良かった、私の身体の中に男性ホルモンは無いということが判明して本当に幸せな気持ちになれました。

早や、術後満2年が経過しましたが、本当に手術をして良かったの一語に尽きる日々を過ごせてます。

4.術後の経過と現状(2)

手術をしての印象は、いろいろありますが以下のようにとりあえずまとめられそうです。

基本、手術をして良かった、嬉しく幸せです。何が嬉しいかと言えば、この手記を書いている、この瞬間にも、股間に嫌悪の対象だったものが無いことが常に実感できているということです。

その証左として、自然に腿と腿がついてしまう、股が広がる、広げることが無い、その瞬間瞬間に女性であることを実感できます。残っている余分な物も余程小さくなり、日常意識するような事態も絶無に近い状態になりました。小用ももはや立ってすることがほとんど無くなりました。いえ、できないと言った方が、その状態をご理解いただけるのではないでしょうか。

 

2009年末から開始したホルモン注射は術後は半分に薬量を減らし、今に至り、この年末には丸6年を迎えます。この間に筋肉が減少で脂肪に置き換わり丸みを帯びた身体になりました。

想定以上に、筋肉質だった身体の筋肉が落ち、腹筋が腹回りの脂肪に変わったことは問題ですが…、後、そのため、重い物を持つのが辛い(クリニックの入口の引き戸が以前より相当重く感じます)、疲れやすい、脂肪のせいで血液検査をするとき血管がなかなみつからない等の身体の変化は戸惑いはありますが、身体を心に近づけたことを思えば許容範囲の変化です。

想定外の事象は鬱状態の心配とは真逆に、メンタルな高揚感が依然継続というか、術前より日常万端依然よりアグレッシブというか時に攻撃的にさえなっているということです。おかげで日常生活は順調ですが、このメンタル状態がいつか反転するのではないかという不安は常に払拭できずにいます。

後、想定内ではありましたが、性欲がほとんど無くなってしまいました。術前は性同一障害の診断の後は、何となく男性に心惹かれるような気分がありましたが、今は全くなく、何か自分を取り巻く状態がシンプルになったような気がします。

また、圧倒的に日常は仮の姿で生活・仕事をこなしているわけですが、その時に同僚の体臭が気になったり(有り体に言えば臭いのです。良い香りには全然敏感になれないのに…)、仕事上避けられない男性だけの集まりに違和感を感じてしまったり、時に、女性の姿であるときだけではなく、仮の姿で夜一人で歩いているときに男性が近づいてきたりすると緊張してしまう自分に戸惑ったりしています。

まとまりのない文章になってしまいましたが、術後2年を迎える現在、本当に手術をして良かったという気持ちに包まれて日々を過ごせています。個人差がある話ですので、私の経験をもって同様の方に、手術をお薦めすることはいたしません。

ただ一つの事例として、半世紀に亘り、複雑な渦中で過ごせざるを得なかった人生がずいぶんと楽に、シンプルになれた実感を得られているということを報告させていただきます。種々の体験記には術中の痛みや術後の鬱状態に呻吟されている方がいらっしゃる一方で、私の場合は現在の所、そうでは無い事例もあるといことでご理解いただければ幸いです。そしてそのように申し上げている私は、この状態が永続するものではなく、いつか反転するという不安と緊張感を感じつつ、その感情と折り合いをつけながら日々過ごしているということも付言させていただきます。

ただ、半世紀以上の人生を過ごして、この段階で、新たな階梯に踏みだし、昇れている今の自分があるのは大谷先生をはじめクリニックの皆様のご支援の賜物であるという感謝の気持ちで日々過ごせていることを最後に付言させていただきます。

これからもよろしくお願い申し上げます。

 

 

診療科目:形成外科、美容外科、麻酔科 TEL 03-3717-3514 10:00-19:00土曜17時まで,予約制,休診:水.日.祝日

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