性別不合(GI)学会認定医 大谷伸久

性別変更(戸籍変更)する際には、性同一性障害特例法により、従来より下記の条件を満たす必要があります。

二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
1. 18歳以上であること
2. 現に婚姻をしていないこと
3. 現に未成年の子がいないこと
4. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
5. 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

最高裁は2023年10月、性別変更の際に生殖能力をなくすことを要件とする規定を憲法13条に違反し憲法違反と判断しました。これを受け、厚生労働省と法務省は同年12月、性別変更の診断書から生殖能力の記載を不要としました。

当クリニックでも、最新の通知に従って診断書を作成しています。
みなさん初めてのことなので、書類の不備などがたまにあります。改めて申請の方法、必要書類を再度確認しましょう。

裁判所に提出する書類

必要書類

①申請書
裁判所でもらう。もしくは、裁判所ホームページからダウンロード
変更申立の書式ダウンロード

②申立人の出生時から現在までのすべての戸籍謄本(全部事項証明書)
☞本籍のある区役所または、マイナンバーカードを利用してコンビニで発行

2人以上の医師による診断書
☞医療機関が発行:診断書自体は1通で、医師の署名が2か所あります。

※申請は、現在の住所を管轄する「家庭裁判所」になります。

生殖能力の記載が不要になったことにより、診断書が詳細に記載されていない場合などがあると、各家庭裁判所の申請許可が以前のように簡単に許可が下りないケースが見られるようになりました。

診断書の指摘されやすい項目

そこで、今回は③の診断書についての注意点を解説します。

性染色体の有無

以前はこの検査をしなくても、スルーされていたこともありましたが、現段階ではこの検査していないと申請を差し戻しされるケースも見られはじめました。そのため、今般厳しく審査される傾向にあります。本来、厚生労働省の裁判所用診断書ひな形には、性染色体の有無の記載欄が設けられています。記載不備で申請を差戻され二度手間にならないように「染色体検査」を受けるよう強くお勧めします。

現在の性器の状態

以前は「内性器(子宮,卵巣)は摘出されており、外性器は男性型に近似している」と記載していれば、全く問題なかったのですが、この記載では数か所の裁判所では受けいることはできないと言われました。現在、より具体的な説明を求めてきています。特に地方裁判所は要注意です。

自由が丘MCクリニック院長の大谷です

当院は、主にジェンダー専門クリニックとして、性別不合GI学会認定医による性別違和に関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。
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