FTM禿げ(脱毛症)に対する研究

FTMの薄毛の原因は、遺伝的要素が大きいのですが、一番の原因は男性ホルモンです。

ある程度長く治療していくと、男性型脱毛症・薄毛を引き起こします。

特に男性ホルモン治療を開始してから長期に及ぶもの、内摘後も内摘前と同様の容量、頻度で注射しているとハゲが進行することがあります。

性別適合手術(SRS)をすでに終えたFTMの禿げ(脱毛症)に関する研究報告があります。

SRS前に少なくとも2年間以上または、約9年の男性ホルモン治療を継続したFTMを対象としています。

対象者の治療に使った男性ホルモンは、すべて長期型ホルモンを使用しています。

脱毛症(禿げ)の進展度は、以下のスコアを利用を利用しています。

FTM脱毛症(禿げ)の分類

FTM脱毛症

Type I:
生え際が禿げてくる、薄くなる、脱毛がないか若干の脱毛
Type II:
前側面の生え際が、たいてい左右対称性に禿げ上げあがってしまう。いわゆるM禿げです。
Type III:
TypeⅡと同様左右対称に生え際はさらに深くなり、一部頭頂が薄くなります。
さらに症状がひどくなるタイプⅤまでと続きます。

40%のFTMが、上記タイプⅠで禿げません。タイプⅡは30%で、マイルドに薄くなります。

タイプⅢ以上にまで進行するのは30%です。

FTM禿げと男性ホルモン治療期間との関係

禿げ具合(脱毛症)と年齢は関係があり、男性ホルモン治療の期間とタイプには関連性がないといわれています。

男性ホルモン治療の最初の1年では、禿げの進展はほとんどありません。

やはり、長く治療していると禿げは進展します。25%のGID・FTMが10年のうちに中等度から重度までの禿げが進展するようです。

ただ、この進展度は、通常の男性の頻度より低いとされます。18~50歳男性の約40%がこの程度の禿げ具合になるようです。

短い期間の治療だと禿げませんが、男性ホルモン治療が長ければ長いほど禿げが進展します。

FTM禿げと年齢の関係

加齢が大きな影響を与えます。生まれつきの女性(FTM)は、毛根部の局所的なテストステロン、エストロゲンの割合が異なるために、禿げの進展を促進をさせない可能性があるとも指摘されています。

長期の男性ホルモン治療となるとまだ不明な点が多いようです。

日本での臨床データがないので、海外からの医学文献からしか参考にできません。

海外と日本で単純に比較できませんが、海外のFTMの男性ホルモン治療は、日本人より容量が多い感じです。海外の薬は欧米人の規格で治療されるため、日本人の体格に同じように当てはまりません。

そのため、当院のFTMの男性ホルモンの治療では、日本人の体格になった容量、期間で治療していくのがよいと考えています。

短い期間でバンバン注射すると、男性の生理的な基準内でも比較的高く維持する場合もあり、悪いことがあってもよいことはありません。たまに適正な間隔か血液検査して確認をお勧めします。

結局、FTMの禿げの治療はどうすればよいか?

・250mgで短期間で注射している方は、間隔を延ばしてみる。
・125㎎に変更してみる。
・男性ホルモンの用量を減らしたり、変えてみても変わらないのであれば、最終的には禿げ防止の薬であるフィナステリドを内服、塗り薬(ミノキシジル)することも考慮してもよいかもしれません。

現在のところ、薄毛に効く薬は、フィナステリドとミノキシジルのみしかありません。

フィナステリドは、FTMの薄毛の治療に使われた研究報告があります。ある程度のよい結果が出ています。
FTMのハゲにフィナステリドは効くか?

参考文献
Short- and long-term clinical skin effects of testosterone treatment in trans men.
J SexMed.2014 Jan;11(1):222-9

男性の薄毛治療には、飲み薬タイプのフィナステリド(プロペシア)が効果的ですが、FTMに関してのフィナステリド(プロペシア)の使用についての研究報告が今までにありませんでした。

2017年に海外の医学論文で、フィナステリド(プロペシア)1㎎を1年間内服してもらって、効果、安全性がどうかを調査したものが報告されました。対象は10人であるものの一定の効果がありました。

FTM薄毛にフィナステリド(プロペシア)は効果があるのか?安全性は?

対象としたFTMは10人と少ないですが、経過観察期間は12カ月として、評価をしています。内服に使用したフィナステリド(プロペシア)は1㎎/日。

FTM薄毛にフィナステリド(プロペシア)を使用した結果

対象患者は、ステージⅣの薄毛パターンの診断を受けていた。薄毛になった時期は、男性ホルモン治療を開始後3.25年。患者の70%に家族に薄毛のひとがいた。

フィナステリド(プロペシア)を開始してから、平均5.5カ月で1グレード改善した。2名の患者が経済的理由と消化不良のため中止したが、それ以外のFTMに重大な副作用は認められなかった。

FTMの薄毛・脱毛パターンは、女性型の脱毛症のパターンでなく男性型に似ていると言える。

☞参考医学文献
Therapeutic experience with oral finasteride for androgenetic alopecia in female‐to‐male transgender patients
Clin Exp Dermatol. 2017 Oct;42(7):743-748

FTM薄毛に悩んでいる方へ

内服なら「フィナステリド(プロペシア)」(または「ザガーロ」)、塗り薬であれば、「ミノキシジル」を使うとよいかと思います。

・ザガーロについては、FTMの臨床試験のデータがありません。

・ミノキシジルの飲み薬は、副作用が出やすいため、長期の使用は勧められません。

自由が丘MCクリニック院長の大谷です

当院は、主に性同一性障害専門クリニックとして、GID学会認定医によるgidに関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。

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