FTMの声の低音化は、男性化の重要な1つ
男性ホルモンを始めてから、どれくらいで声が低くなるの?
この変化が出てくるのは、個人差があるけど6か月。その経過途中に声が出しにくいとか、大声出すと裏返ってしまうなどの症状も出るよね
この前、おばあちゃんに電話したら、誰?と聞かれましたよ
オレオレ詐欺と間違われないようにね…
FTMの声の低音化の仕組み
FTMの場合、男性ホルモン治療を始めると症状の変化の1つに声が低くなることでしょう。
まずは、簡単に声帯と声についてお話ししましょう。
息の流れによって振動することで声が出ます。この声帯の振動の範囲を基本周波数F0といいます。
通常の振動数は、100~200Hz(1000Hzぐらいまで振動が可能です。)です。発する声が違っても、基本周波数F0は、ほとんど変化がなく一定です。
私たちが耳に聞こえる高い声、低い声は、この基本周波数によって決まり、これが低いほど声が低くなります。
普通の男性の平均値は、85~155Hz、女性の平均値は、165~255Hzです。
男性ホルモン治療による声が低くなる効果と満足度
男性ホルモン治療によるFTMの声の男性化に対しての声の影響、声の満足度の研究報告を紹介します。
50人の18~60歳までのFTMを対象:声のデータを男性ホルモン治療の前、治療開始後3,6,12か月の時点で声の振幅をデジタルオーディオで基本周波数と音圧を解析。
同時に、男性ホルモン血中濃度と当事者の声に対しての質問を記録。
基本周波数は、3,6,12か月ごとに低下していき、3か月後には、平均192Hzから155Hzまで下がり、最終的に12か月後には125Hzまで下がりました。
ポイント
音圧レベルに大きい変化はありませんでした。
当事者の感想として、声が不安定、声を出すと疲る、ボイスセラピーが必要なひともいました。
基本周波数は、男性ホルモン血中濃度とに相関関係はありませんでした。男性ホルモンの種類によっての影響はありませんでした。
男性ホルモン治療を行ったFTMの声の変化は、ほとんどが満足を得るものでした。
しかしながら、十分に効果がなく、ボイスセラピーを行った人もいます。
男性ホルモン治療中は、総合的な声の評価も必要なのかもしれません。
ポイント
1 個人差はあるが、男性ホルモン治療後12か月でほぼ男性と同じ周波数になった。
2 男性ホルモン治療後に最も変化があったのは、6か月目であった。
3 最初の1年でボイスセラピーが必要なこともある。
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