「AMAB(Assigned Male At Birth)」と「AFAB(Assigned Female At Birth)」という用語は、LGBTQ+に関する議論やコミュニティでよく登場します。自分のセクシュアリティを探求し始めたばかりの方や、LGBTQ+の友人を理解し支援したいと考える味方(アライ)の方にとって、正しい用語を学ぶことは、LGBTQ+の体験をより深く理解する助けになります。
ここでは、これらの用語の意味と、今日の世界におけるこの言葉の重要性について詳しく解説します。
AMABとAFABの意味とその内容説明
AMABは「出生時に男性と割り当てられた(Assigned Male At Birth)」、AFABは「出生時に女性と割り当てられた(Assigned Female At Birth)」を意味します。
赤ちゃんが生まれたときに見た目の体の特徴だけで「男」や「女」と決められることを指します。これらの用語は、目に見える解剖学的特徴に基づいて出生時に割り当てられた性を強調するものです。
しかし、この「男」「女」のラベルが、その人の本当の性自認を表しているわけではありません。性自認は非常に個人的で内面的な感覚です。性自認というのは、「自分は男性、女性、それともそのどちらでもない」と感じる、内側からの感覚です。これらは人それぞれで、外からはわからないことも多いです。
ノンバイナリーの人々は、男性または女性という枠組みに縛られません。彼らは性中立的な代名詞の使用や外見の変化を通じて、自分の性自認を肯定するステップを踏むこともあります。一部のノンバイナリーの人は自分をトランスジェンダーと認識することもありますが、すべての人がそうではありません。
トランスジェンダーやノンバイナリーの人々は必要に応じて自分をAMABまたはAFABと表現することがありますが、しない場合もあります。
性別、ジェンダー、性自認の違い
性別、ジェンダー、性自認は、それぞれ独立した要素、もしくは、異なる概念であり、私たちの生きる経験における重要な構成要素です。性別は、生物学的特徴に基づいて与えられるラベルです。一方、ジェンダー、特に性自認は、自分の中で感じる男性性や女性性、またはそれ以外の感覚であり、内面的な自己認識を指します。これは外見として表現されることもあります。
AMABやAFABといった包括的な用語は、子ども時代に外部の特徴のみに基づいて性別が割り当てられることを強調し、「生まれたときの性別はこれだったけど、自分の性自認とは違うこともある」ということを示すために役立ちます。
しかし、このラベルは不完全であり、性自認や表現はその人自身が決める部分であるという重要な事実を伝えています。
過去の用語との違い
現在、MTF(男性から女性へ)やFTM(女性から男性へ)という言葉が使われていますが、これらの用語は「最初はある性別だったけど、別の性別に変わった」というニュアンスがあり、必ずしもトランスジェンダーの全員に合う表現ではありません。そのため、もっと中立的で、出発点(出生時に割り当てられた性)に焦点を当てた「AMAB」と「AFAB」が使われるようになりました。
AMABやAFABという言葉は、生物学的な性(身体的特徴)と性自認(心の性別)を切り離して考えるための大切なツールです。社会が進歩する中で、出生時に割り当てられた性が必ずしもその人の性自認と一致するわけではないという認識が広まりつつあります。
これにより、「男らしさ」「女らしさ」といった古い固定観念から解放され、もっと多様な性別のあり方を尊重できるようになります。
AGAB(Assigned Gender At Birth)の議論
AGABという用語には課題もあります。特に、ノンバイナリー(男でも女でもない人)やインターセックス(生まれたときに男性・女性の特徴がはっきりしない人)の場合、AMABやAFABでは完全にその人を説明できないことがあります。
たとえば、ノンバイナリーの人は性別に縛られず、自分に合った代名詞(例:彼/彼女ではなく「彼ら」など)や外見を選ぶことで、自分らしさを大切にしています。また、トランスジェンダーの人がAMABやAFABを使うこともあれば、そうしない場合もあります。
当院は、主に性同一性障害専門クリニックとして、性別不合(GI)学会認定医によるgidに関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。
☞クリニックのご案内
ホルモン治療、手術についてわからないことなどありましたら、気軽にライン、またはメールからお問い合わせください。