MTFのための乳がん検診のすすめ

※本記事は、性別違和・胸オペを専門とする医師が責任を持って執筆したものです。

文責医師:大谷 伸久(性別不合学会認定医)

ホルモン治療や豊胸手術を受けたMTFの方にとっても、乳がん検診は大切なセルフケアのひとつです。
目次

MTFでも乳がんになるの?

はい、MTFの方でも、エストロゲン治療(HRT)により乳腺が発達し、乳がんリスクが上昇することが分かっています。 特に5年以上のホルモン使用歴がある方、また乳がん家族歴がある方は、定期的な乳がん検診が推奨されます。

受けられる検査の種類

1. 触診

利点:
• 手軽にでき、痛みがほとんどない
• 自覚症状がある場合には有効

欠点・限界:
• 早期のしこりや小さな病変は見逃されやすい
• 医師の技量や主観によって差が出る

2. マンモグラフィー(X線検査)

特徴:
乳房を引き伸ばして圧迫し、X線で撮影します。
利点:
• 微細な石灰化(初期の乳がんの兆候)を検出できる
• 保険適用で費用が比較的安価

欠点・限界:
• 乳房が小さい、または発達途上だと撮影困難な場合あり
• 豊胸術後(シリコンやバッグあり)は破損リスクがあり非推奨
• 圧迫による痛みがある場合も

3. 乳腺エコー(超音波検査)

特徴:
超音波を使って、乳腺やしこりの状態を画像化する検査です。
利点:
• 痛みがなく、豊胸している方でも安全に実施可能
• 若年者や乳腺が発達しているMTFに適している
• 繰り返し行っても体への負担が少ない

欠点・限界:
• 石灰化は映りにくいため、マンモグラフィーの補完的検査
• 担当者の技量によって診断精度に差が出る

4. MRI(乳房MRI)

利点:
• 乳腺密度が高い方や豊胸術後でも検査が可能
• 触診やマンモグラフィーで見逃されがちな腫瘍も発見しやすい
• 被曝がない

欠点・限界:
• 偽陽性が出やすく、過剰検査につながることも
• 検査時間が長く、閉所恐怖症の方にはつらい可能性も

よくある質問

Q. MRIを受けるならマンモグラフィーは不要ですか?

原則としてMRIがより高精度なので、乳腺がしっかりある場合や豊胸術後はMRIが推奨されることがあります。ただし、MRIでは石灰化の描出が苦手なため、場合によっては両方の併用が望ましいこともあります。

豊胸していても検診できる?

豊胸手術を受けている場合、マンモグラフィーではバッグ破損のリスクがあるため推奨できません。MRIや超音波検査など、負荷の少ない検査方法を選びましょう。

■ まとめ:自分に合った検診方法を
• 豊胸していない・乳房がある程度発達している → マンモグラフィー or MRI
• 豊胸している → MRI or 超音波

※オンライン診療するにあたり厚生労働省の研修プログラムを受けています。

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このコラムを書いた人

性別不合(GI) 学会認定医/大谷伸久のアバター 性別不合(GI) 学会認定医/大谷伸久 自由が丘MCクリニック 院長

平成6年北里大学医学部卒業(医籍登録362489号)
国立国際医療センター、北里大学病院、順天堂大学医学部研究員などを経て、平成20年:自由が丘MCクリニック開業

当院は、主に性別不合(GI)専門クリニックとして、性別不合(GI)学会認定医による性別違和に関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。

ホルモン治療、手術についてわからないことなどありましたら、気軽にLINE、またはメールからお問い合わせください。

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