胸オペと美容外科医


適切な治療を選ぶためのドクター選び

胸オペは、単に「胸を小さくする手術」ではなく、男性の胸と同様の形状を実現するための手術です。そのため、適切な知識と技術を持つ医師による施術が不可欠です。

                                                                                                       (執筆者:性別不合(GI)学会認定医 大谷伸久)

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美容外科と胸オペの違い

美容外科では、脂肪吸引や乳房縮小手術を行うことが一般的ですが、乳腺を完全に除去することに重点を置く治療ではありません

トランスジェンダーの胸オペには、乳腺を取り除き、男性の胸に近づけるための特殊な技術が必要ですが、これに精通していない美容外科医の場合、脂肪のみを除去し、肝心の乳腺が残ったままになるケースが散見されます。

その結果、再度、乳腺を取り除く必要があったり、術後の仕上がりが不十分となり、追加の修正が必要になることもあります。

美容外科での脂肪吸引だけでは不十分な理由

  • 乳房の構成:乳房は脂肪だけでなく、約70~80%が乳腺 で形成されています。
  • 脂肪吸引だけでは乳腺が残る:乳腺を除去しない場合、男性の胸の形状にはなりません。
  • 美容外科での誤った対応:脂肪しか取らず、肝心の乳腺が残ったままになるケースが多く見られます。

性別不合に精通した医師による胸オペの重要性

性別不合(性同一性障害)に関する診断、手術を含む治療に携わる医師は、原則として性別不合(GI)学会認定医であることが望ましいとしています。

「認定医」とは、性別不合(GI)学会が認定する資格の1つで、厳しい基準をクリアした性別不合(GI)学会が認定する医師に与えられます。

トランスジェンダー医療の性別不合学会認定医は、ホルモン治療、手術、性別変更の手続き、性別違和の解消などを包括的に理解した上で、患者に最適な手術を提供できます。

胸オペに関しては、次のことが重要です。

乳腺の適切な除去男性らしい胸のラインを形成
性別違和への理解見た目だけでなく心理的安心感も考慮
術後フォロー長期的なケアや追加治療も対応可能

胸オペを考えている方は、「美容外科医でも精通しているのか?」を慎重に検討し、性別不合医療の専門知識を持つ医師を選ぶことで、より満足度の高い結果を得ることができます。

適切な医師選びこそが、安全で納得のいく胸オペへの第一歩です。

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