現在、世界的にコロナウイルスが蔓延しているため、FTMの手術、胸オペ、性別適合手術するために海外渡航するのが難しくなっています。
このページでは、従来の海外の情報をお伝えしています。
胸オペの国外での病院選び
国外の手術動向
最近、胸オペ、性別適合手術を含む性転換手術は商業産業的な色が強くなってきました。最も多くの活動がタイで行われ、次いでイランが続きます。
ハンガリーやポーランドが外国人に価値の高い歯科治療を提供し、南アフリカが外国人に美容整形手術を提供しているように、インドは医療観光客(医療ツーリズム)に手頃な価格で性別変更手術を提供しています。
海外で行う最大のメリットは安さです。安かろう悪かろう、なんてことわざもありますが・・・。
手術を国外で行う特徴を見ていきましょう。
胸オペを海外で行う場合
メリット
治療費が安い?→△
実際には、タイの手術代は安いのですが、アテンド料、滞在費、飛行機代などが余計に費用がかかります。
トータルすると意外にも、日本とほとんど変わらない場合も。
胸オペと内摘を同時にできる→〇
タイに比べ日本国内では、内摘する施設がいまだに少ないですから、このメリットは享受できるでしょう。
- FTMの手術は、タイがうまい→△
FTMの性別適合手術は、胸オペ、性別適合手術、内摘、そして、陰茎形成です。
では、タイがうまいと思われている理由はなんでしょう?それは、陰茎形成にあります。
おそらく、タイが早くに陰茎形成を始めたので、「FTMの手術はタイ」というイメージがあるのかもしれません。
陰茎形成術においては、タイでの手術症例に比べると、日本国内では症例数が少なすぎで、発展途上の状態と言ってよいでしょう。
胸オペは、乳腺摘出(乳房切除)と同じ意味で、国内でも乳房再建の範囲内で以前から行われているので、技術的に劣ることはありません。
内摘、子宮卵巣摘出術は、どこの婦人科もできる技術ですが、産婦人科医の人手不足も担って、行う医療施設が少ないだけです。
デメリット
-
- アフターケアがない→〇
タイで胸オペしても、術後に何かトラブルや合併症があったとき、アフターケアはないと思った方がよいです。
もちろん、術後の保証はあるようですが、そのときの手術代は費用がかかりませんが渡航費は自腹です。
その都度、合併症があれば、何回もタイへ行くことができるでしょうか?
渡航費も自腹で、時間とお金が余計にかかることになります。
- 直接、医師に手術の説明が聞けない
どのような医者が行うかわからないし、そもそも日本語で直接医者から説明を受けることができません。
タイの医者から説明を受けても、手術の説明の理解にギャップを生じることが多いでしょう。
海外で手術する際に知っておくべき5つのこと
1 胸オペ、子宮卵巣摘出も実際の手術であり、いくつかのリスクが必ずあります。
これらのリスクは、手術中はもちろんのこと、術後の旅行関連に増加する可能性があります。
2 胸オペ、子宮卵巣摘出後の観光などの活動は、術後どんなに調子がよくても健康を損なう可能性があります。
適度な安静と合併症のリスクを減らすために、術後の観光は避けるべきです。
3 手術後の観光は、合併症のリスクを大幅に高くなります。
また、術後の長いフライトも合併症のリスクが高くなります。
たとえば、長いフライトで肺塞栓症や静脈血栓の発症の潜在的なリスクの頻度が高くなることを知っていますか?
通常の長いフライトでも静脈血栓を生じることがあり、術後はなおさらリスクが高くなります。
4 海外での手術の対して、患者を保護する法律は日本にはありません。
何か合併症や外科的過失が発生した場合は法的手段がないと考えておいた方がよいでしょう。
5 タイの手術とそれに伴う費用を合計すると、日本より少し安くできる可能性もあります。
ただし、なにか合併症などのトラブルがあった場合には、日本で行う費用以上に高くなる可能性もあります。
修正手術や合併症のための追加料金の負担が大きくなることもあります。
胸オペをタイで行った結果、術前と違う術式に変わってしまった例
当院に相談にいらした方で、当初胸オペをU字切開で行う予定だったのに、麻酔から覚めたら余計な傷跡が残る方法にされて、手術跡の長い傷をどうにかできないか、という方がいました。
本来U字切開で行う症例なのに、このようにFTM当事者の承諾なしに、術式が変わってしまった例
このような横のキズは、数回の修正手術が必要になります。
すべてがこのようなことはないと思いますが、少し残念なことです。
日本よりインフォームド・コンセント(患者さんへの同意)がしっかりしていないので、医師が勝手に手術方法を変えてしまうこともあります。
胸オペの治療費について
国外の費用は、ピンからキリまでありますが、相場は、50~60万でしょう。
海外、とくにタイで行う場合は、手術費は安いですが、アテンド費用、渡航費、滞在費を含めると国内とほぼ変わりません。
なにかトラブルがあった場合には、国内でかかる費用以上に余計に高くつくこともあるかもしれません。
まとめ
胸オペを受ける際に、もっとも重要なことは、その医者の手術症例の数が指標になるはもちろんのこと、その医者と合うか?信頼できそうか?誠意がありそうか?最終的にこの医者に任せられるか?など手術以外の要素も大切なことかもしれません。
FTM当事者にとって、1回きりの胸オペになりますので、よく考えて決めていくとよいでしょう。
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