[Q質問]
今体重が100キロあるのですが、胸オペするにあたり、体重の条件などありますか?
[A答え]
肥満の指標にBMI(Body Mass Index)という数値で評価することができます。このご質問の場合は、身長がわかればBMIを出すことができます。計算方法は、以下に記載します。
BMIが30以上の場合、手術や麻酔の際にさまざまなリスクが生じます。麻酔の影響が強く出ることや、気管挿管の難易度が上がる可能性があるため、術中・術後の管理が複雑になります。
また、呼吸器系や血栓のリスクが高まり、傷の治りが遅れることも考えられます。安全に手術を受けるため、BMI30以下への減量をし、術前の体調管理を徹底することが大事です。
BMIと胸オペにおける影響
胸オペを検討する際、BMIは重要な指標となります。BMIが高いと術後の合併症リスクが増加し、場合によっては BMI30以下まで減量しないと手術できないこともあります。
BMIの計算方法
BMIは 身長と体重の比率から算出され、肥満度を評価する指標です。
計算式:
BMI = 体重 (kg) ÷ 身長 (m)^2
例えば、体重100kg、身長167cm の場合:
BMI = 100 ÷ (1.67 × 1.67) = 35.8
→ BMI30以下にするためには83kg程度 まで減量が必要になります。
BMIの判定基準(日本肥満学会)

BMIが30以上の場合の手術リスク
BMIが30以上だと、以下の 周術期リスク が高まります。
1. 麻酔のリスク
• 気道確保が困難:肥満によって気管挿管が難しくなる
• 麻酔薬の排泄遅延:脂肪組織に麻酔薬が蓄積しやすく、覚醒が遅れる
2. 呼吸器系の影響
• 肺合併症のリスク増加:胸部・腹部脂肪が呼吸を妨げ、肺炎や無気肺の可能性
• 酸素供給の低下:術中の酸素取り込みが低下し、人工呼吸管理が必要になる場合あり
3. 血栓症のリスク
• 肺塞栓症(エコノミークラス症候群):肥満者は血流障害が起こりやすい
• 深部静脈血栓症(DVT):長時間の手術で血流が滞り、血栓が形成されるリスク増
4. 創傷治癒の遅延
• 傷の感染リスク:脂肪組織が多いと傷の治りが遅くなり、感染リスクが高まる
• 褥瘡の発生:体重増加により圧力がかかり、術後の床ずれができやすくなる
5. 手術時間の延長
• 視野確保が困難:内臓脂肪が多いと術野が狭まり、手術時間が長くなる
• 出血リスクの増加:脂肪組織は脆く、出血しやすい傾向あり
リスク軽減のための対策
• 術前の体重管理:減量を行い、手術リスクを軽減
• 呼吸訓練:術前リハビリで肺合併症予防
• 血栓予防:術後は早期離床し、血栓予防の処置を受ける
【胸オペ記事】
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