胸オペ後のキズは、キズパワーパッドを使った方がよいか?
キズパワーパッドは、商品名で家庭用に使われるものとして、多くの人に認知されています。胸オペ後のキズに対しては、キズパワーパッドに類似した医療用のものが使われます。ここでは、わかりやすいように、キズパワーパッドと呼びます。
このキズパワーパッドは、ハイドロコロイドが主成分です。これは水分を吸収する働きがあります。キズ口から出る体液(浸出液)を吸収します。水やばい菌を防ぎ、キズの治癒に適した環境を整え、キズ口をやさしく保護します。
ケガなどをすると、キズの表皮が再生するときに、表皮になる細胞がキズ付近に移動してきます。湿潤な環境にあると、これらの細胞は浸出液(体液)があると素早く移動でき、キズの表面をスムーズに覆うことができます。その結果、きれいな皮膚が早くに再生できるのです。
キズに対しての考え方
キズは毎日よく消毒して、乾かして、かさぶたを作って治すという考え方が主流でした。よく乾かして治す!これをドライヒーリングといいます。
かさぶたは、キズ周囲に炎症がおこり、痛み・かゆみを伴った結果、乾燥したために形成されます。キズが痛いのは、ごく細の神経が空気に触れ、乾燥するからです。
現在のキズの治し方は、乾燥して治すより湿った状態をで治す方法がよいのです。
一方、キズは乾かさないで、湿った状態で治す方法を湿潤療法(モイストヒーリング)といいます。
なぜ湿らすと、治りがよいのか?
転んだりして、擦りむいたキズ、そして、ヤケドのキズ(水泡)に対しては、密閉して、湿潤を保つと以下のことが起こります。
①痛みが少ない
痛みが少なくなるのは、キズ表面にある目に見えない神経が空気に接しないため、神経が乾燥しないからです。
②治りが早い
キズパワーパッドで密閉することにより、キズを治そうとする細胞が充満します。
消毒をすると、キズの周囲にいた細菌を殺すことはできるのですが、キズを治そうとする細胞まで死んでしまいます。
意外にも、私たちの身体は免疫力があれば、細菌がキズの周囲にいても、問題ないことが多いのです。それよりも、治そうとする細胞がいなくなってしまう方がキズの治りが悪くなる原因になります。
このように、キズに対しての治療は、ドライヒーリングに対して、最近では、自然治癒力に着目した、キズをしっかり覆い、潤い(体液)を保ってきれいに治す湿潤療法(モイストヒーリング)が主体となっています。
ただ、残念なことに、普通のケガや浅いヤケド程度で、医療機関にかかっても、湿潤療法で治療はしてくれません。なぜなら、健康保険では、この治療が認められていないからです。
大したことがないというと語弊がありますが、ちょっとしたことで、病院にかかっていては、医療費が増大してしまう理由もあるのでしょう。
胸オペ後にも使える?
もちろん、手術で縫った場所にも使えます。
交換時期
使い方
手術直後には、キズを縫った場所に対してハイドロパッドを貼っています。
自然治癒力を高まり、キズが早く治るのです。したがって、治癒にかかる日数は、キズの種類、程度、個人差によって異なりますので、一概に何日とは言えません。
胸オペ後のキズはキズパワーパッド、ハイドロパッドで保護しよう
貼るだけで自然治癒力を高めキズがきれいに治ります。
◎傷口を閉鎖環境に置くので、神経への刺激がすくなく痛みが軽減されます。
◎防菌性、防水性、粘着力に優れていますので、お風呂やシャワーも貼ったままで大丈夫です。
一口コメント
ぼくが26年前の研修医のときには、毎日消毒しているのに、キズが化膿しようものなら、消毒が十分でないからと、上の先生に言われたものでした。
この教えに従い10年くらいは、キズに対して消毒を一生懸命したものです。
とにかく、
・キズは毎日消毒する!
・それも念入りに!
・化膿してしまったら、きちんと消毒しないから・・・と先輩医師に怒られたものでした。
ところが、このキズの考え方がここ15年前くらいより変わってきました。キズに対しての考え方は、一変します。
医師になって10年以上、キズに対しては、消毒を丹念にすることだと教えられていたので、急に治療方法を変えることには、半信半疑でした。
当時、「湿潤療法」の勉強会を主催していた夏目先生をきっかけに、たまたまヤケドした直後に貼ってみたところ、痛みがなくなったのです。しかも、治りも早いし、ヤケド後の色素沈着も起こさないのです。
このように、この他に、手術後の創部だけでなく、ちょっとした擦り傷、ヤケド、包丁、スライサーやカッターで切った場合も使えますので、ぜひ試してみてください。
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