ノンバイナリー、Xジェンダーのための胸オペ

性同一性障害(GID)認定医 大谷伸久

トランス男性(FTM)のひとだけでなく、ノンバイナリーのひとも乳房に違和感あり、胸オペをされる人も最近多い感じがします。2023年の海外の医学論文は、まさにノンバイナリーの胸オペについての研究論文となります。題目は、「Gender affirming surgery in non-binary patients: The importance of patient-centered care」で、意訳すると、「ノンバイナリー患者における性別適合手術: 患者中心のケアの重要性」となります。では、簡単に解説します。

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ノンバイナリーの胸オペ事情

胸オペを受けた人の約3割が「ノンバイナリー」(男女どちらでもない)と自認しています。
1. ノンバイナリーの人は、トランス男性に比べて若い年齢で、
•性別に違和感を感じる
•周りの人に自分のアイデンティティを打ち明ける
•胸オペを考えている

2. ノンバイナリーの人は、性別の違和感を感じてから治療を始めるまでの期間が短い傾向にある。
これは何を意味するか?

1. 多様性:胸を取りたい人たちは、トランス男性だけでなく、ノンバイナリーの人も多くいます。
2. 早い行動:ノンバイナリーの人は、自分のアイデンティティに気づいてから比較的早く行動を起こす傾向があります。
3. 個別対応の必要性:ノンバイナリーの人とトランス男性では経験が異なるため、それぞれに合わせた医療サポートが必要です。

ノンバイナリーに対する手術方法

・トランスジェンダの手術方法と特に違いはありません。
・トランスジェンダーFTMの場合には、一般的には胸郭を男性のように真っ平に希望するひとが多いです。
しかし、ノンバイナリー、Xジェンダーが胸オペを希望される一部の方には、トランスジェンダーのひとと若干異なった結果を希望をされる方もいらっしゃいます。

• ノンバイナリーの患者さんは、より個別化された結果を求める傾向があります。すなわち、一般的なトランス男性が望む手術方法でなく、乳頭・乳輪の再建を行わないことをより希望する傾向がありました。
• 乳輪のサイズや位置、乳頭の突出具合などを、患者さんの希望に合わせてカスタマイズすることが可能です。
• 場合によっては、乳頭や乳輪を完全に除去する方も最近多い傾向にあります。

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