胸オペは、性別適合手術の1つとされ、FTMの人たちにとって、性別の違和感を解消できる治療です。

胸オペを先に行う人もいますし、男性ホルモン治療よりも先に行う方もいます。

性同一性障害のガイドラインからも、どちらを先にしなければいけないということもありません。

もちろん、XジェンダーであるFTXの人たちも胸オペはできます。

さて、ホル注を先にするにせよ、胸オペをするときに、まず決めなければいけないのは、手術をどこでするか?です。

国内の選択が多いかと思いますが、国外であればタイを思いつくかもしれません。

胸オペを国内でする場合

メリット

  • 術後に何かトラブルがあったときには、アフターケアが受けられる安心感がある。
  • どのような医者に手術してもらえるかわかるし、もちろん、日本語で手術の説明、合併症、リスクなど十分に説明してもらえる。
  • 日本語で、ある複雑な説明を受けても100%伝わらないのに、タイ語の通訳を介した説明では、手術の内容を100%理解するのは難しいことです。

デメリット

  • 医師の研修施設である大学病院や大きい病院だと実際に誰が手術するかわからない。

これらの病院は、研修病院なので、研修医が手術を指導医のもとにオペをする場合もあります。

胸オペを国外(タイなど)でする場合

メリット

  • 治療費が安い。

実際には、タイの手術代は安いのですが、アテンド料、滞在費、飛行機代などが余計に費用がかかります。
トータルすると意外にも、日本とほとんど変わりません。

  • 胸オペと内摘を同時にできる。

タイに比べ日本国内では、内摘する施設がいまだに少ないですから、このメリットは享受できるでしょう。

  • FTMの手術は、タイがうまい。

FTMの性別適合手術は、胸オペ、性別適合手術内摘、そして、陰茎形成)です。

では、タイがうまいと思われている理由はなんでしょう?それは、陰茎形成にあります。

おそらく、タイが早くに陰茎形成を始めたので、「FTMの手術はタイ」というイメージがあるのかもしれません。

陰茎形成術においては、タイの症例に比べると、日本国内では症例数が少なすぎで、発展途上の状態と言ってよいでしょう。

胸オペは、乳腺摘出術と同じ意味で、国内でも乳房再建の範囲内で以前から行われているので、技術的に劣ることはありません。

また、胸オペに関しては、小さいキズ、U字切開が行える日本の医者はまだ少ないですが、世界的に見ても特に遜色はないです。

内摘、子宮卵巣摘出術は、どこの婦人科もできる技術ですが、産婦人科医の人手不足も担って、行う医療施設が少ないだけです。

デメリット

    • アフターケアがない

タイで胸オペしても、術後に何かトラブルや合併症があったとき、アフターケアはないと思った方がよいです。

もちろん、なにか合併症があれば、再度タイへ行くこともできるでしょう。

渡航費も自腹で、時間とお金が余計にかかることになります。

    • 医師直接に手術の説明が聞けない

どのような医者が行うかわからないし、そもそも日本語で直接医者から説明を受けることができません。

タイの医者から説明を受けても、手術の説明の理解にギャップを生じることが多いでしょう。

タイで行った胸オペで、術前と違う術式に変わってしまった例

当院に相談にいらした方で、当初胸オペをU字切開で行う予定だったのに、麻酔から覚めたら余計な傷跡が残る方法にされて、手術跡の長い傷をどうにかできないか、という方がいました。

本来U字切開で行う症例なのに、このようにFTM当事者の承諾なしに、術式が変わってしまった例

このような横のキズは、数回の修正手術が必要になります。

すべてがこのようなことはないと思いますが、少し残念なことです。

結局、胸オペする際に大切なことは?

当院は、もちろん国内の医療施設ですから、日本で行った方が安全ですし、日本語で十分に手術の説明もできて、最後まで責任もって手術することができます。

手術する医者と手術前に会ったこともなければ、お話したこともないというのは、やはり少し不安があります。

手術前に疑問点や不安なことを解消し、失敗などがあってもよいと納得していれば、タイでもいいと思います。

乳輪の下半周を切る手術でも適応がありそうなひとでも、大きい傷の方法を勧められる場合があります。

アテンドさんとは何回かやりとりして、自分の胸は傷が小さく済む方法だと説明されるかもしれません。

アテンドは医師ではありませんし、タイで手術する先生は、写真で見たかもしれませんが、実際に、当日初めて胸を見るわけです。

手術の説明を含め、100%その医師に希望を伝えられるわけではありません。

日本人同士の会話でも、100%理解できるわけではないですよね?

通訳を介して話すと言うことは、医師からの説明にギャップが生まれます。

胸オペを受ける際に、もっとも重要なことは、その医者の手術症例の数が指標になるはもちろんのこと、その医者と合うか?信頼できそうか?誠意がありそうか?最終的にこの医者に任せられるか?など手術以外の要素も大切なことです。

FTM当事者にとって、1回きりの胸オペになりますので、よく考えて決めていくとよいかと思います。