性分化疾患とは?

 卵巣、精巣や性器の発育が典型的でない状態をいいます。

性分化疾患を疑う所見

 性分化疾患の場合、外性器が典型的な男女とは異なります。
1.性腺を触れることができるか?男性であれば、睾丸が触れなければ停留睾丸などが考えられます。
2.陰茎(ペニス)あるいは陰核(クリトリス)が、それぞれ極端に陰茎が小さい、陰核肥大があるか?
3.尿道口の開口場所が通常の場所と異ならないか?尿道下裂あるいは、陰唇癒合がないか?
4.陰嚢の低形成あるいは大陰唇の男性化がないか?
5.膣があるか?途中で行き止まりになっているか?
 通常は、出生後に気が付くことが多いのですが、両親も気がつかないで成人になってから本人が異常に気が付くこともあります。

先天性副腎性器症候群

生物学的女性(性染色体核型46,XX)であるが、胎生期より男性ホルモン(アンドロゲン)が過剰分泌し、アンドロゲンが蓄積されるため、罹患した女児胎児は男性化をもたらす疾患です。

 通常、先天性副腎過形成に罹患した乳児は、外性器の半陰陽を示すため、初期の診断の手がかりがほとんどありません。なぜなら、男性化不足の男児乳児と男性化過剰の女児乳児は身体診察で区別できないからです。

 新生児期における先天性副腎性器症候群の確定診断は極めて困難です。そのためは、早急に診断できず不適切な治療も行われ、治療に難渋することもありました。現在では、過去の不適切な治療を踏まえて、日本小児内分泌学会性分化委員会「性分化疾患初期対応の手引き」(厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 性分化疾患に関する研究班)に関する診断ガイドラインが作成されています。

 また、現在では先天性副腎性器症候群に対しては、新生児マススクリーニングが実施されています。昭和63年1月より全国規模で実施され始められています。昭和63年以前の生まれで、当時マススクリーニングが行われていない方は、現在でも性別に違和感を持っている方も少なくないようです。

実際に患者さんの例
性自認について
物心がついたときより、自認する性は男性であった。幼少期より本人の性の自認も男性であり、現在に至っている。学校生活でも、教師、同級生たちからも男の子と扱われていた。

また、女性化の治療に何年も通院するにも関わらず、女性化しないことも相まって、当時の母親もあきらめて、幼少期より男の子として養育された。

医学的見解
 現時点で医学的に見て、女性ホルモンを投与しても女性化は望めず、生殖能力はなく妊孕性はない。また、外性器は半陰陽、現在も男性と同程度に男性ホルモンが分泌されている。

幼少期より男性として養育され、自身も男性と自認している。そのため、戸籍上、女性であることが本人にとってたいへん苦痛である。また、外観上も男性で、男性としての生活も確立している。過去には、職場でも頻繁にトラブルがあり、戸籍上女性であることが社会生活上混乱をもたらしている。

以上の医学的背景を鑑みて、本疾患は性同一性障害を伴わない性分化疾患における性の変更として、戸籍上、男性として生活することが望ましい症例です。

アンドロゲン不応症(精巣女性化症候群)

 男性ホルモンに対応するレセプターの異常とされます。染色体は男性型XYで、精巣から男性ホルモンが産生・分泌されるのですが、それに組織が反応できないために、生殖器は男性型への発育が障害されます。精巣がお腹の中にある場合もあります。

 外性器は、さまざまなタイプがあり、膣も存在する完全型から正常な男性型外性器を持つ不完全型までさまざまです。女性完全型に近いほど、思春期まで気づくことなく経過し、無月経や性交困難で気がつくことが多いです。

 実際の症例でも、やはり思春期になっても生理が来ないために来院しています。お腹にある精巣は、がん化することが多いので、一般的には精巣の摘出が勧められています。。

 完全型の性自認は女性であることが多く、出生時には女性として戸籍上登録されているため、性の変更は必要ありませんが、精巣の摘出、女性ホルモンの補充は必要となります

性分化疾患の戸籍における性の変更について

・性分化疾患の医学的理由があり、妥当と認められる診断書が提出され、家庭裁判所で認められれば性の変更は可能です。
・変更の記録は残りますが、転籍・結婚で性の変更は消えます。
・性同一性障害gidを伴わない性分化疾患における性の変更とは区別されます。ただし、性別違和の観点から完全に個別に扱うことが不可能な事例もあります。

 性分化疾患は、この他にもクラインフェルター症候群(47+XXY)などもあります。

 外性器に異常があり、性別に違和感を持つ場合も一度当院へご相談ください。