性同一性障害(GID)認定医 大谷伸久

今回は、性別を問わない英語のジェンダー代名詞”They”について考えてみましょう。

They/themは、英語では性別を問わない代名詞として使われます。長い間、性別が男性か女性かわからない人を表すのに単数形の「they」を使ってきましたが、「they」のノンバイナリーな使い方は比較的新しい使い方です。

トラスジェンダーの呼称にTheyを使うようになるまで

自分の性別が二元的な人(男性か女性かを認識している人)で、これまで非二元的なtheyに出会ったことがなければ、少し変な感じがするかもしれません。

あるいは、不要だと思うかもしれません。また、新しい用語に戸惑うかもしれません。しかし、これまでずっと、非二元系の代名詞を探してきた経緯があります。

想定される性別表現に適合しない人や、男性でも女性でもないような人は昔からいました。しかし、そのような人たちを表現するための適切な言葉、特に代名詞を見つけるのに苦労してきました。

Theyの単数形

単数形のtheyの発展は、複数形のyouから単数形のyouへの発展と同じですが、単数形のyouが文法的におかしいとは言われていないこと、ほとんどすべての人がカジュアルな会話やフォーマルな文章で単数形のtheyを使うことが多いことです。

人の性別を表す英語の代名詞は、he、she、theyを一般的に使います。英語の代名詞は以下のものを含みます。
You, I, me, we, us, they, them, theirs, themself, he, him, his, himself, she, her, hers, herself, etc.

トランス・コミュニティでは、he/him/hisやshe/her/hersという代名詞を使うことに違和感を覚え、代わりにthey/them/theirsと呼ばれることを望む人もいます。

新しい概念のThey

ここで言う、they/them/theirsは、男性とも女性ともつかない人の代名詞として新しい使い方をしています。

Non-Binaryの人だけがThey/themの代名詞を使うわけではなく、性別を問わず、誰でも自分が心地よく感じる代名詞を使うことができます。

“they “は常に単数形の代名詞として使われており、特に誰かの性別に言及しているわけではありません。

このように、伝統的な単数形のtheyとは異なる使い方で、性別がわからない、あるいは文脈上重要でない人を指すために使われます。

性別に関係ないTheyの具体的な使い方

They/them/theirは、単数または性別を問わない代名詞として限られたケースで受け入れられます。分かりやすさを第一に考え、単数形のtheyを性別に関係なく使うことは、多くのひとにとって馴染みがありませんが、複数の人がいることを示唆するような表現にならないようにすればよいだけです。

They, them, their – ほとんどの場合、複数形の代名詞は先行詞と数が一致していなければなりません。The children loves the books their uncle gave them.

新しいtheyの使い方は直接的であり、性別がわかっている、もしくはわかるが、男性とも女性とも認識していない人を指します。もし代名詞theyの使用を好む友人を紹介するなら、

例えば、
“This is my friend, Jay. I met them at work.”
“この友達は、ジェイです。仕事で知り合いました。”

一般的には、最初に挙げられている代名詞が最も好まれる代名詞です。ですから、She/theyでは、”They “よりも “she “がよく使われます。They/Sheでは、”She “よりも “They “の方がよく使われるかもしれません。

注意しなければならないのは、「簡単な」代名詞(sheまたはhe)を選んで、それに固執しないことです。定期的に使い分けをするようにしましょう。

“She and I went to the store yesterday and they got some cake!”

“They said they could drive me home, he could probably be driving you too”

中には、自分がthey/them代名詞を使っていることを他人に伝えるのに緊張しすぎて、誰にも迷惑をかけないように、あるいは特にthey/them代名詞を求められた場合の反発を恐れて、「he/they」や「she/they」と言う人もいるかもしれません。

17世紀のイギリスの相続に関する法律では、性別に適合しない人々をitという代名詞で表現することがありましたが、これは人間性を奪うものではあるものの、当時は性別を表す代名詞として文法的に最も適していると考えられていました。

このように、性別を問わず、誰でも自分が心地よく感じるTheyを使うことは、非常に好ましいことです。

自由が丘MCクリニック院長の大谷です

当院は、主に性同一性障害専門クリニックとして、GID学会認定医によるgidに関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。
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