WPATH <第5章> 成人の評価

この章では、トランスジェンダーおよびジェンダー・ダイバーシティ(TGD)を持つ成人が医療的に必要な性別肯定的治療(GAMST)を受けるための評価基準 についての指針についてです。

目次

GAMST評価の目的

TGD成人の性別違和を評価し、共存する精神的健康問題を把握。
GAMSTの治療法について情報提供し、リスクや効果を考慮できるよう支援。
TGD成人が治療を理解し、その治療が有益かどうか判断できるかを評価。
より良い治療結果を得るための選択肢を考慮することを支援。

評価アプローチ

GAMSTの評価には、TGD成人の自己認識と医療専門家の臨床知識が不可欠。
多くのケースでは、TGD成人と医療提供者が共同で意思決定 し、最適な治療を選択。
一部の医療システムでは、「インフォームド・コンセント」モデルを採用し、医療提供者はアドバイザーとして関与(Deutsch, 2011, 2016)。

評価の柔軟性

評価プロセスは一律ではなく、各国・地域の状況に適応する必要がある。
シンプルな評価で十分なケースもあれば、より複雑なケースでは多職種チームによる包括的な評価が必要。
一部の治療では遠隔医療(テレヘルス)を利用した評価 も可能。

GAMSTの提供環境

公的医療機関、民間医療、地域医療、慈善機関など、多様な環境で提供可能。
治療のアクセシビリティを高めるため、WPATHは評価と治療を受けやすくすることを推奨。
高品質な医療サービスの提供を確保することが重要。
この指針は、地域や個々の医療状況に応じて適応されるべきものであり、今後さらなる研究によって改善が期待されます。

このように、本文の内容を要約し、ポイントを整理 しました。さらに詳細な情報が必要な場合は、お知らせください!

5.1 トランスジェンダー医療の評価を行う医療従事者

適切な国家資格 を持ち、修士以上の学位または同等の臨床トレーニング を受けた者であること。
診断が必要な国では、WHOの最新ICD(国際疾病分類)を活用できる能力 を持つこと。
性別違和と共存する精神的・心理的課題を適切に識別 できること。
治療に関する同意能力を評価 できること。
性別違和の臨床評価に関する経験や資格を持つこと。
継続的な医療教育を受け、知識を更新し続けること。

5.2 トランスジェンダー医療の専門家との連携

必要に応じて異なる分野の専門家と相談・紹介を行う。

5.3 性別肯定的医療・外科治療の評価基準

持続的な性別違和を抱えている場合にのみ、医療・外科治療を推奨。
診断が必要な場合は、適切な診断基準を満たしていることを確認。
他の原因による性別違和の可能性を除外すること。
精神的・身体的健康状態を評価し、リスクとメリットを検討した上で治療判断を行う。
生殖への影響について理解を促し、選択肢を提示すること。

5.4 社会的移行と治療の関係

ホルモン・外科治療の評価において、社会的移行の役割を本人と共に検討する ことを推奨。

5.5 治療開始に必要な意見

必要条件を満たす場合、専門家の単独意見で治療を開始可能。

5.6 性腺摘出術(Gonadectomy)の前提条件

トランスジェンダーおよびジェンダー・ダイバーシティの人々が性腺摘出術(Gonadectomy)を希望する場合、その人のジェンダー目標に適した形で、最低6か月間のホルモン療法を考慮することを推奨 します。ただし、医学的にホルモン療法が適用されない場合 は、この限りではありません。

5.7 デトランジション希望者の評価

トランスジェンダー医療に精通した医療従事者による包括的評価 を推奨。
社会的移行の役割も含めた評価を行うこと。

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