胸オペするとドレーンを入れると聞いたこともあることでしょう。
でも、馴染みのない言葉だし、痛いとも聞いたことがあるかもしれません。
そんなあなたに、ドレーンの誤解を解くためのページです。
ドレーンを抜くときの動画もあります。少しでも安心していただければと思います。
(執筆者:自由が丘MCクリニック 院長 大谷伸久)
胸オペ後になぜドレーンを入れるのか?
ドレーンは胸オペ後、乳腺組織を取りだしたあとに、乳房の空洞に余計な血液が溜まらないように、体の外に血液を排出するためのものです。ドレーン(drain)は、排出という意味です。
ドレーンを入れる目的
乳腺を切除する際には、目に見える血管をすべて止めているのですが、毛細血管という目には見えないごく細の血管までは、すべて止血することができません。
毛細血管からの出血は、ぼくらが皮膚を擦りむいたときにじわじわ出るイメージです。
毛細血管からの出血は個人差があり、あまり出ないひともいれば、かなり出るひともいます。
手術前には、出血傾向があるひとは血液検査でわかるのですが、毛細血管からの出血の多い少ないは検査ではわからないですし、予測が立ちません。
そのため、術後に胸の空洞に余計な血液が溜まらないように、強制的に外に追い出すのがドレーンの目的になります。
胸の空洞に血液が溜まってはいけない理由
乳腺を取りだしたあとの空洞は、ほぼ胸全体に渡っているため、範囲が広いです。溜まる血液が少なければ早く吸収しますが、血液が多く溜まってしまうと、手術した場所の治りが悪くなる傾向にあります。
血液は、ばい菌の栄養素にもなるし、術後に感染、水(浸出液)も溜まりやすくなります。
ドレーンを入れるメリット
感染防止、水(浸出液)が溜まらないことに加えて、手術終了後に、その乳房の空洞の中にチューブを入れて、外から血液を吸引することにより、皮膚が下の筋肉と密着させ傷の治りを早くさせるメリットもあります。
実際のドレーンの管理
ドレーンチューブは柔らかい素材で出来ていて、太さは直径3ミリ程度です。
このチューブは左右各1本づつ留置し、体外の小さい箱につながっていて、そこに出てきた血液を回収します。
この箱を小さいポシェットに入れ、腰からぶら下げます。ドレーンは問題なければ、術度翌日か翌々日に抜きます。抜くときは少し痛みを感じる程度です。ポシェットは、クリニックで用意してあります。
実際にドレーンを抜くところです。気が付いたら終わっていることでしょう。
ドレーンQ&A
メール相談でいただいた質問を掲載しました。
Q ドレーンを入れること自体は危険ですか?
A ドレーンを入れて危険なことは一切ありません。
仮にドレーンが危険であったら、一般の手術でも使うことはありません。ドレーンを1週間以上入れておくなら別ですが、1、2日留置しておくことはまったく問題がありません。逆に留置しておいた方が多くのメリットがあります。
Q いつまで入れている?
A ドレーンは、排出という意味で、手術の後たまった血液や浸出液を体外に出すためが目的になります。急激な出血などがなければ、手術の翌日(休診日によっては翌々日)に抜きます。
排液量の目安は50~100㎖程度です。もし、量が多い場合には、抜くのを延期することもあります。
Q 抜いた後も1日安静にするように指示されていますが、痛みがほとんどありません。どんどん動いてもいいですか?
A ドレーンを抜いた翌日までは、出血のリスクがあります。
手術の際には、電気メスというもので血を止めます。簡単にいうと、かさぶたをつくっているようなものです。
みなさんの経験上、かさぶたをムリにはがすと血が出るように、安静をと持てないと、乳房内の出血を止めた血管のかさぶたが取れてしまうと出血してしまうのです。
ドレーンを抜いてから48時間は、バストバンドを外さないで、安静にしていただきます。
Q 様々なブログを読んでみたところ、ドレーンが挿入されたままの状態が一番大変な時期と聞いていますが、今まで術後、ドレーンの扱い方によって問題が生じたり具合が悪くなったりケースがありますか?
A 抜くときにいつも聞くのですが、思ったほど痛くて、つらくて仕方なかったとは聞かないです。もちろん直接聞きているので、遠慮して本当のことを言わない可能性もなくはないですが。
上半身をねじる動作をすると少しズッキっとする程度です。過去10年の間に、問題が生じたことはありません。
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