日本は、世界の中でみると、法的に性別変更ができる国ですが、ある程度の条件が必要になります。
☞世界で見る性別変更の法制度
性同一性障害の診断書の種類
提出するところにより診断書に違いがあります。2種類あります。
【一般的な診断書】
「通常の簡易な診断書」 通常の診断書:「診断名:性同一性障害 or 性別違和 or 性別不合」 と記載があるのみ。
(必要とされるケース) 胸オペを受ける際、改名、職場提出、そして、内摘(子宮卵巣摘出)のため。なお、内摘の場合は、2名の診断書が各々必要なことが多い。1st、2nd医師の区別はありません。
【性別変更のための診断書(裁判所用)】
家庭裁判所へ申請する戸籍変更のための診断書の作成をしています。
当院で、性同一性障害(GID)、性別不合の診断をされている方は、そのまま1stの診断書を作成いたします。
2ndの場合もお知らせください。
裁判所に性別変更の申請をして、許可が下りるのは約1カ月です。もちろん、各裁判所によって多少の期間は異なります。
※普通に発行される診断書と戸籍変更するために必要な診断書は、書式がまったく違いますので注意しましょう。
診断において、1st、2ndの医師というのは、一般的な診断書に関係なく、裁判所提出用に使われる言葉です。1stは、メインとなる医師で、2ndは連名する医師です。
通常の診断書もしくは、改名のための診断書は、通常は1枚のペラの紙に、「性同一性障害」と記載された簡易なものになります。
性別変更(戸籍変更)のための診断書は、裁判所に提出する診断書で、生活歴などを含む治療の内容などを詳細に記載したもので、一般的な診断書と形式が違います。
これは、メインとなる医師が診断書を書き、さらに、その診断書にメイン以外のもう一人の医師の署名が必要になります。要するに、裁判所に提出する診断書は1通(たいてい3枚綴り)ですが、2名の医師の署名が必要になります。メインに記載する医師(1st医師といいます)ともう1人の別の医師(2nd医師)に署名してもらいます。
子宮卵巣摘出の際には、診断書を2通もらってくるように言われることが多いと思いますが、この場合は2名の医師から各1通の診断書をもらいに行くことになります。タイで行うときもですが、このときは英文になります。(簡易な診断書2通;裁判所に提出するものとは別です)
「裁判所提出用の戸籍変更のための診断書」
診断経緯、性染色体検査、身体的所見、ホルモン注射歴、手術歴など詳細に記載してあります。
裁判所に提出する診断書は、2名の医師の署名が必要とされ、上記情報を詳細に記載し作成する医師が1st医師といいます。
2nd医師は、1st医師が作成した診断書を確認し、署名します。
性別変更できるひとの条件
念のためもう1度確認しておきましょう。
2人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
☞最終的な診断書のことで、2名の医師の署名が必要になります。
・18歳以上であること
・現に婚姻をしていないこと
・現に未成年の子がいないこと
・生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
最高裁によりこの要件は違憲と判断されました。そのため、2023年12月より、性別変更の際には、「生殖能力がない」ことの記載は必要なくなりました。
・他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
どこに行けばよいか?
結論から言うと、上記にあるように2名の医師により性同一性障害を診断してもらうこととあるように、結局は2か所の医療機関、クリニックにそれぞれ足を運びます。
まず1人の医師に主な診断書を作成してもらいます。この医師を当事者の人たちは、通称「ファースト(の医者もしくは診断書)」と呼んでいます。ファーストの先生に診断書を書いてもらったら、次にセカンドとよばれる先生に署名をもらいに行きます。
ファースト医師の署名
はじめて診断書を作成・発行してもらったクリニックへ行き、「裁判所に提出する性別変更用の診断書」を書いて欲しい旨を伝えます。そして、下記の「そろえる書類」を用意して持参します。
注意したいのは、すでに手元にある簡単な書式の診断書(1枚もしくは2枚持っているかと思います)は、家庭裁判所に提出する診断書の書式とはまったく違うので、必要ありません。というか、裁判所に持参しても却下されます。
これらの診断書は、ホルモン治療開始時、乳腺摘出時、そして、性別適合手術をするために必要だった診断書で、性別変更用の診断書として、家庭裁判所提出用には使えないのです。
(性別適合手術:MTF睾丸、陰茎切除、FTM卵巣子宮摘出)
※ご本人の事情などにより、はじめて診断書を発行してもらったところで書いてもらえないようでしたら、ご相談ください。
そろえる必要な書類と治療歴の情報
・ホルモン治療している証明書
☞現在行っている病院またはクリニック
・性染色体検査の結果(必須)
☞検査した病院またはクリニック: ちなみに書類で必要な中で、一番時間のかかる書類は「性染色体検査」です。早くて2週間、3週間はかかると思った方がよいでしょう。準備は早めにしましょう。
・乳腺摘出した証明書
☞手術した病院またはクリニック
・性別適合手術(SRS)の証明書(必須、英語でも可)
ここでいう性別適合手術は、FTMの場合、子宮卵巣摘出、MTFの場合は、睾丸、ペニス切除を指します。
家庭裁判所のホームページ
☞性別の取り扱い変更について性別の取り扱い変更について性別の取り扱い変更について
上に挙げた診断書のほかに、戸籍謄本が必要です。
・申立人の出生時から現在までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
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当院は、主に性同一性障害専門クリニックとして、GID学会認定医によるgidに関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。
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【医師 大谷伸久の経歴】
平成6年北里大学医学部卒業(医籍登録362489号)
国立国際医療センター、北里大学病院、順天堂大学医学部研究員などを経て、
平成20年:自由が丘MCクリニック開業
GID(性同一性障害)学会認定医、テストステロン治療認定医