性別の変更(戸籍変更)の手続きの仕方
性別変更したいけど、下記のようによくクリニックでも質問されます。
・勝手に、治療をやってしまったが…
・本当に性別変更はできるのだろうか?
・海外で性転換する予定だけど、国内で行ったひとしか許可が下りないのでは?
いろいろな疑問があるかもしれません。心配いりません。
すべて、クリニックでできることは性別変更手続きまでアドバイスします。
司法書士、行政書士、そして弁護士に代理して頼むこともできますが、作成費用はかかります。
難しい手続きはないので、すべて素人でもできます。 医師は代理では作成できませんが、アドバイスできます。または、直接家庭裁判所でも詳しく教えてもらえますので、聞いてみるとよいでしょう。
☆申し立ては、本人の住所地の家庭裁判所になります。
例:住民票が、神奈川県にある場合は神奈川の家庭裁判所になります。
1 性別変更の法律上の条件
性同一性障害者であることが大前提ですが、次の要件を満たしていることが絶対条件です。まずは、条件がすべて当てはまるか確認します。
1. 18歳以上であること
2. 現に婚姻をしていないこと
3. 現に未成年の子がいないこと(平成20年の法改正で「現に子がないこと」から変更されています)
4. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
最高裁の判決により、2023年12月よりこの要件が違憲と判断されました。
5. その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
※性同一性障害者とは,法により「生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず,心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち,かつ,自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者」とされています。
※診断書は、厚生労働省の参考様式で大丈夫です。この診断書というのは、最初にもらった診断書、または、性別適合手術を受ける前の診断書とは違う書式です。
たまに、ペラの診断書を提出して、申請できなかった~という話をよく耳にしますので注意してください。
子どもがいるかいないかについて 3についての解釈
※ 「現に子がいないことの要件」については、「子がいる」場合には性別の変更はできないと、2007年10月最高裁判決で厳しい判決が下りました。その翌年に、法改正により、「未成年の子どもがいないこと」に変更されました。
それ以前の判決を参考に掲載しておきます。
参考
「子供なし」の条件は合憲
性同一性障害の性別変更で初判断 性同一性障害と診断されたものの、子供がいることを理由に男性から女性への戸籍上の性別変更を却下されたが申し立てた特別抗告について、最高裁は棄却する決定をした。最高裁は決定理由で、子供がいないことを性別変更の条件とした性同一性障害特例法について「子のある者に性別変更を認めた場合、家族秩序に混乱を生じさせ、子の福祉の観点からも問題を生じかねないなどの配慮に基づく」と指摘した。
このように、「合理性を欠かないから、国会の裁量権の範囲を逸脱せず、憲法の平等権などに違反するとは言えない」との初判断を示しています。
閉経したFTMは、条件に合うか? 4についての注釈
MTFなら睾丸を摘出していることです。FTMの場合は、条文通り解釈すると、「生殖腺がないこと」は、卵巣・子宮を摘出しているということです。そして、「または」とあります。もう1つの事実を示しています。
「生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」です。この解釈は次のようになります。
本来、生物学的女性の場合は、50歳過ぎると卵巣の機能が停止し、以降には、生殖能力がなくなります。そのため、生殖腺(この場合、卵巣)の機能は、永続的に戻ることはないということです。
要約すると、50歳ぐらいのFTMで、すでに閉経している場合には、「生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある」ということです。実際に、この条件で性別変更できているひとが当クリニックでもいます。ただし、婦人科で閉経であるという証明をしてもらう必要があります。
そのため、「生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある」という文言を診断書に記載してもらうことが必要です。この診断書を性別変更用の診断書に添付して、申請します。
この場合、子宮が温存されるので、代理出産ができてしまいます。体外受精したものを、その子宮に着床させれば、理論上は子どもを産むことができるからです。(性同一性障害のひとではありませんが、70歳の女性が、娘のために代理出産したニュースが過去にあります)これを悪用して?、万が一、すでに性別変更したFTMが代理出産するようなことがあれば、この法律はさらに厳しく条文が修正されるでしょう。
FTMの場合、胸オペ(乳腺摘出、乳房切除)の有無は、性別変更に関係しません。
FTMはペニス形成術が必須か? 5についての解釈
MTFは、4の条件に加えて、陰茎を切除して、外陰部を女性のように形成することです。外陰部の見た目が女性のように見えれば大丈夫です。膣の有無は問いませんので、造膣はしていなくても特に問題はありません。
FTMは、男性の陰茎に似たものというと、クリトリスになります。男性ホルモン治療を行うとクリトリスが大きくなり、見た目が小さいペニスのようになります。ペニスの大小にとやかく言われる筋合いはありません。
これらに関する情報は、提出する診断書にすべて記載します。また、外観に関しては医師が診察した結果を診断書に記載します。審判時に服を脱いで、裁判官のチェックがあるわけではありません。書類だけでなく、面談がある家庭裁判所もあります。
特例法は、戸籍上の性別変更の条件として、性別適合手術を前提にしていることになります。
手続きの流れ
(2) 申立人
性別の取扱いの変更を求める本人
(3) 申立先
申立人の住所地の家庭裁判所;現在住んでいる管轄裁判所
(4) 申立てに必要な費用
· 収入印紙800円
· 連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)
(5) 申立てに必要な書類
· 申立書1通(裁判所ホームページからダウンロードしてください)
· 申立人の戸籍(除籍,改製原戸籍)(出生時から現在までのすべての戸籍謄本)各1通
· 二人以上の医師による診断書☞医療機関で作成する裁判所用の診断書
· 住民票写し☞市町村の役所
※診断書の記載要領と参考様式は,家庭裁判所の受付窓口にも用意してありますが、クリニックにありますので、用意する必要ありません。
※場合によっては、その他の資料の提出をお願いされることがあります。
たとえば、海外で性別適合手術した場合の英文の診断書を翻訳したものを添付するように言われるなどです。
※改名も同時に手続きする場合は改名の申し立ても同時にしなくてはなりません。
※ただし、同時にできるような記載がありますが、実際には、ほとんどの方が改名を先に行い、その後に性別変更をするように言われます。裁判所の事務手続き上の問題なのかもしれません。
関連サイト
☞性別変更診断書に生殖能力の記載なしでOK
☞性同一性障害のための診断(初診)から戸籍変更まで
☞性同一性障害のための改名の手続き方法
当院は、主に性同一性障害専門クリニックとして、GID学会認定医によるgidに関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。
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