性同一性障害(GID)認定医 大谷伸久

性別変更のためには、裁判所に性別変更の申請をしなければなりません。
2023年12月より、性別変更の際には、「生殖能力がない」ことの記載は必要なくなりました。

性別適合手術(SRS)まで終わったけど、このあとどうすればよいの?っていうひと意外に多くいるものです。そんなひとのために事前に知っておきましょう。

日本は、世界の中でみると、法的に性別変更ができる国ですが、ある程度の条件が必要になります。
世界で見る性別変更の法制度

ちなみに書類で必要な中で、一番時間のかかる書類は「性染色体検査」です。早くて2週間、3週間はかかると思った方がよいでしょう。準備は早めにしましょう。

そして、裁判所に性別変更の申請をして、許可が下りるのは約1カ月です。もちろん、各裁判所によって多少の期間は異なります。

性別変更できるひとの条件

念のためもう1度確認しておきましょう。

2人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
☞最終的な診断書のことで、2名の医師の署名が必要になります。
・18歳以上であること
・現に婚姻をしていないこと
・現に未成年の子がいないこと
・生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
最高裁によりこの要件は違憲と判断されました。
・他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

どこに行けばよいか?

結論から言うと、上記にあるように2名の医師により性同一性障害を診断してもらうこととあるように、結局は2か所の医療機関、クリニックにそれぞれ足を運びます。

まず1人の医師に主な診断書を作成してもらいます。この医師を当事者の人たちは、通称「ファースト(の医者もしくは診断書)」と呼んでいます。ファーストの先生に診断書を書いてもらったら、次にセカンドとよばれる先生に署名をもらいに行きます。

ファーストの先生

はじめて診断書を作成・発行してもらったクリニックへ行き、「裁判所に提出する性別変更用の診断書」を書いて欲しい旨を伝えます。そして、下記の「そろえる書類」を用意して持参します。

注意したいのは、すでに手元にある簡単な書式の診断書(1枚もしくは2枚持っているかと思います)は、家庭裁判所に提出する診断書の書式とはまったく違うので、必要ありません。というか、裁判所に持参しても却下されます。

これらの診断書は、ホルモン治療開始時、乳腺摘出時、そして、性別適合手術をするために必要だった診断書で、性別変更用の診断書として、家庭裁判所提出用には使えないのです。
(性別適合手術:MTF睾丸、陰茎切除、FTM卵巣子宮摘出

※ご本人の事情などにより、はじめて診断書を発行してもらったところで書いてもらえないようでしたら、ご相談ください。

そろえる必要な書類と治療歴の情報

・ホルモン治療している証明書
☞現在行っている病院またはクリニック

・性染色体検査の結果(必須)
☞検査した病院またはクリニック

・乳腺摘出した証明書
☞手術した病院またはクリニック

・性別適合手術(SRS)の証明書(必須、英語でも可)

ここでいう性別適合手術は、FTMの場合、子宮卵巣摘出、MTFの場合は、睾丸、ペニス切除を指します。

家庭裁判所のホームページ

☞性別の取り扱い変更について性別の取り扱い変更について性別の取り扱い変更について

上に挙げた診断書のほかに、戸籍謄本が必要です。
・申立人の出生時から現在までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

関連サイト
性別変更診断書に生殖能力の記載なしでOK
性同一性障害のための性別(戸籍)変更の方法
性同一性障害のための改名の届け出の方法

自由が丘MCクリニック院長の大谷です

当院は、主に性同一性障害専門クリニックとして、GID学会認定医によるgidに関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。
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【医師 大谷伸久の経歴】
平成6年北里大学医学部卒業(医籍登録362489号)
国立国際医療センター、北里大学病院、順天堂大学医学部研究員などを経て、
平成20年:自由が丘MCクリニック開業

GID(性同一性障害)学会認定医、テストステロン治療認定医