執筆者:性同一性障害(GID)認定医 大谷伸久

新型コロナとgidホルモン治療

今回のポイント

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)においては、今のところ、女性ホルモンに有効性があると考えられている。そのため、

MTFの女性ホルモン治療は、優位に働く可能性があるものの、FTMの男性ホルモン治療は、リスクが高まる可能性がある。

ただし、新型コロナウイルス顕著な特徴として、全身性の血栓症や血液が固まりやすくなっている状態(凝固性亢進)が挙げられることを考えると、ホルモン治療が凝固性亢進関連していることにも留意する必要がある。

新型コロナウイルスと性差

COVID-19の感受性とその感染が悪化する経過には、性差が重要な意味を持つことが示されています。

これらの違いを説明するには、生物学的男女のメカニズムの違いなどが考えられています。

また、シスジェンダー(一般)の男性と女性の間のライフスタイルの違いや現在の持病も関係している可能性があります。

コロナ感染には、女性ホルモンが有効?

現在、COVID-19治療薬としての性ホルモン、特にエストロゲンとプロゲステロンの安全性と有効性を探る新しい研究が行われています。

これには、SARS(サーズ)感染症を対象とした動物実験での前例があるからです。

SARS-CoV-1を感染させたマウスを対象とした研究では、エストロゲン投与により、炎症反応、ウイルス力価、罹患率、死亡率が低下を示した結果が出ています。

これらの知見は、この進化するコロナ・パンデミックの解決策を見い出せるかもしれません。

gid治療の制限

しかしながら、トランスジェンダーコミュニティは、COVID-19の人口統計データ、調査研究、および公衆衛生の監視システムから除外されています。

生物学的な性別やホルモン剤の使用がコロナウイルスにどのような影響を与えるかについての理解が結果的には制限されている状態です。

gidのホルモン療法と新型コロナ

COVID-19におけるホルモン療法を理解するためのより効率的な方法は、性別を確認するための移行過程で使用されるホルモン補充療法(HRT)を現在利用しているトランスジェンダーに置き換えてみることです。

MTFのホルモン療法には、エストロゲン、プロゲステロン、抗アンドロゲン剤が含まれており、女性特有の属性を持つようになります。

FTMのホルモン療法には、テストステロンが含まれており、エストロゲン分泌を抑制し、男性特有の属性を持つようになります。

動物モデルやエストロゲン受容体拮抗薬の利用に関する研究では、有望な結果が得られています。

仮定として、MTFで女性ホルモン治療を受けている人は、重度のCOVID-19の発生を防ぐことができる可能性があります。

一方で、FTMで男性ホルモン治療を受けている人はリスクが高まる可能性があります。

しかしながら、この仮説は、他の生物学的および行動学的要因によって複雑になっている可能性があります。

例えば、シスジェンダー(一般)女性のX染色体が2つあると、MTFのX染色体が1つある場合よりも、病原体の認識や自然免疫の活性化に重要な要素である物質(TLR-7)が発現するため、ウイルス感染に対する免疫反応が良くなる可能性があると言われています。

さらに、トランスジェンダーは、がんやタバコなどの慢性疾患の罹患率が高いと言われ、これらがCOVID-19の進行やその状態の悪化につながっていると考えられています。

COVID-19の顕著な特徴として、全身性の血栓症や凝固性亢進が挙げられることを考えると、性のホルモン治療が血液が固まりやすくなっている状態(凝固性亢進)と関連していることにも留意する必要があります。

しかし、現在進行中の研究は、主にエストラジオールのパッチを対象としており、女性化や閉経後の一般的なホルモン補充療法に使用される投与量よりも静脈血栓塞栓症のリスクが低いとされています。

したがって、COVID-19の研究活動やデータ収集、特に性ホルモンの使用を伴うものには、トランスジェンダーを特定する個人を含めることが不可欠です。

トランスジェンダーの健康とCOVID-19に関する進行中の研究活動は、あったとしても極めて限られています。

トランスジェンダーのニーズに応え、今後のCOVID-19の研究開発に彼らを含めることは、すべての患者を平等に扱うという倫理原則を守るだけでなく、あらゆるコミュニティの人々を保護しながらCOVID-19に関する知識を深める機会にもなります。

ホルモン治療中のコロナワクチン接種についてどう考えるか?

新型コロナとトランスジェンダーのホルモン治療についての海外医学文献がとても少ないです。
今回は、その1つをご紹介しました。

MTF、FTMともにホルモン治療をしている方は、コロナワクチンは打つべきか打たないべきか?だれも確実なことをアドバイスできない状態です。

新型コロナウイルス(COVID-19)の特徴は、全身性の血栓症を起こすことです。

ワクチン接種後数日内に血栓での死亡例が今のところ85例ですが(令和3年5月28日現在、厚生労働省の報告)、いずれもワクチン接種との因果関係は認められていません。(というか国は認めるわけない?)

ちなみに、死亡原因がワクチン接種と因果関係があれば、補償金が出るようです。もしかすると、水面下で補償金を出している可能性もあります。

怪しいと思ってしまうのが、死亡後、十分に検証するわけでもないのに、死亡後すぐに因果関係はないと断言してしまうところに闇を感じてしまうのは、ぼくだけでしょうか?

統計的には、ひとはいつ死んでもおかしくないわけですが、ワクチン接種後の死亡原因の一部には、特に基礎疾患がない健康な方で、ワクチン接種後の数日以内に亡くなっています。その原因は、主にくも膜下出血、脳出血など心臓血管系です。

くも膜下出血は、脳血管に症状に現れない小さい動脈瘤があること多いので、それが何かしらワクチン接種後の血栓と関係があるんではないかと推測されます。

当クリニックの提言は、海外の医学論文を読んだ限りですが、新型コロナウイルス(COVID-19)の特徴は、血栓症との関連性が高いことがわかっています。

そのため、ワクチン接種する利益が、コロナにかかるリスクを大きく上回ると思うのであれば、接種してもよいと考えます。

したがって、まとめると、ホルモン治療をしている場合は、以下のことに留意していただきたいと思います。

現状、GIDのホルモン治療とコロナワクチンについての研究のデータがまったくない状態なので、あくまでも仮定、推測であることをご了承願います。

MTFの女性ホルモン治療中の血栓症の予見はできないので(血液検査でもわからない)、他のひとよりリスクが高いと認識したうえで、ワクチン接種を受ける。

FTMの男性ホルモン治療は、血液が固まりやすくなっている可能性があるので、ワクチン接種前には、「多血症」の確認をしておいた方がよいです。

いずれにせよ、仮にワクチン接種を受ける場合は、ホルモンを打った直後ではなく、しばらく期間を開けるとよいかもしれません。

最後に。死因の原因が脳出血であるため、ワクチン接種前に脳動脈瘤があるか脳ドッグを受けることをお勧めします。

☞海外医学情報
Involvement of Cisgender and Transgender Individuals in Studies on the Impact of Hormonal AIDS Patient Care STDS
Therapy on COVID-19
2020 Sep;34(9):367-368.

自由が丘MCクリニック院長の大谷です

当院は、主に性同一性障害専門クリニックとして、GID学会認定医によるgidに関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。
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