MTFのエストロゲン投与によるプロラクチノーマ

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女性ホルモン治療の副作用

MTFの方にとって、女性ホルモン治療は、男性ホルモン治療よりいろいろと副作用が多いです。

もっとも重大な副作用は「血栓」ですが、「プロラクチノーマ」も問題となることもあります。

そもそもプロラクチノーマを知らない方も多くいるかと思いますので、プロラクチン、プロラクチノーマの予備知識を得ておきましょう。

プロラクチンとは?

脳にある下垂体といわれる場所からプロラクチンというホルモン(乳汁分泌ホルモンの別名)が分泌されています。

プロラクチンは、乳汁分泌を促す作用があります。

性腺の機能を低下させる作用も持っています。

女性が授乳期のときに、性欲が起きないのはこのためです。

プロラクチノーマとは?

プロラクチノーマは、下垂体が肥大して腫瘍化することによって、プロラクチンが過剰に分泌します。

これは一般人口のプロラクチノーマの発生頻度は、男性だと約3000人に1人。

女性は約1000人に1人の割合です。

男性は、腫瘍がかなり小さい場合、診断が遅くなることがあります。

プロラクチノーマは、エストロゲンが原因?

身体で、より多くのエストロゲンを産生した結果、または、外部から取り入れたエストロゲンによって、これらの発症頻度の違いが生じると言われています。

ただし、エストロゲンがプロラクチノーマのリスク要因なのかはっきりわかっていません。

ラットの実験では、高濃度のエストロゲンを投与するとプロラクチンを多く産生する細胞が多くなる結果が報告されています。

これが、女性ホルモン、とくにエストロゲンを高濃度に投与しているとプロラクチノーマになる可能性があるという理由です。

ところが、プロラクチンの血中濃度が正常範囲内の場合でも、プロラクチノーマを生じることもあります。

そして、女性ホルモンが必ずしも高い血中濃度ではないのに、プロラクチノーマを生じることがあるとも報告されています。

エストロゲン治療を受けているMTFに関してのプロラクチノーマの海外医学論文を今後いくつか紹介していきます。

Key word
脳下垂体…頭蓋内部に収まっている内分泌腺。この場所から、さまざまな内分泌腺に働く。
プロラクチン…乳汁分泌ホルモンの別名。脳下垂体から分泌するホルモン。

※オンライン診療するにあたり厚生労働省の研修プログラムを受けています。

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このコラムを書いた人

性別不合(GI) 学会認定医/大谷伸久のアバター 性別不合(GI) 学会認定医/大谷伸久 自由が丘MCクリニック 院長

平成6年北里大学医学部卒業(医籍登録362489号)
国立国際医療センター、北里大学病院、順天堂大学医学部研究員などを経て、平成20年:自由が丘MCクリニック開業

当院は、主に性別不合(GI)専門クリニックとして、性別不合(GI)学会認定医による性別違和に関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。

ホルモン治療、手術についてわからないことなどありましたら、気軽にLINE、またはメールからお問い合わせください。

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