性同一性障害(GID)認定医 大谷伸久

今回は、日本における「性同一性障害特例法」の法律について、海外の視点からの投稿論文を見つけました。
「The LANCET」という有名な医学論文からの投稿をご紹介します。

”Coercive sterilisation of transgender people in Japan”日本語に訳すと、日本におけるトランスジェンダーの強制不妊、です。

WHOと米国精神医学会の2つの主要な疾病分類システムの最新版で、トランスジェンダーのアイデンティティが「精神疾患」として削除されたことは、本来、トランスジェンダーを支援する医療専門家にとって解放的な出来事となるはずです。

控えめに見積もっても、性別とは異なる性別を自認している人は0.5%程度と言われています。しかし、ジェンダーを肯定するケアの指針となる強力な証拠がなく、多くの国でジェンダーの固定観念と差別を強化する法律が存在するため、トランスジェンダーはしばしば目に見えない存在となります。

日本で2004年に施行された「性同一性障害特例法」の法律は、厳格な基準を満たした場合にのみ、トランスジェンダーが自認した性別を認めるという、人権と国連条約に反しています。

この法律は、性同一性障害の診断を受けていること、未婚であること、18歳以上であること、18歳未満の子供がいないことを要求しています。生殖腺がないか機能していないこと、生殖器が移行後の性別に似ていることが条件となっています。

早期介入によって最も恩恵を受けるだろう未成年者は除外されています。

このようなハードルによって、この法律は自分のアイデンティティを生きるという決断を強制的で不妊手術を課しているのです。

医学的、科学的な事実に基づいていると主張しているにもかかわらず、科学的方法とは相容れない行為であり、これは道徳的に忌むべき立場でもあり、根拠も共感もなく、日本のトランスジェンダーの生活実態に即していません。

悲しいことに、トランスジェンダーの法的認知を性転換手術を受けた者に限定しているのは、日本だけではありません。

このような逆行する法律がもたらす健康への悪影響は、国民皆保険制度に対する日本の尊敬すべき国際的リーダーシップと相容れないものです。日本学術会議と国連人権理事会は、それぞれこの法律を批判しています。

この法律を改正するために、日本は、性別が個人の必要性によってのみ決定されるアルゼンチンや、さらにトランスジェンダーの人々を差別から保護するマルタの例を考慮する必要があるでしょう。
性別変更における世界の法制度

【コメント】
過去にあった「優性保護法」の法律に基づき、知的障害を理由に強制不妊手術を強いられた時期があったことを以前に記載しましたが、この法律と「性同一性障害特例法」は、なにら変わりません。
おそらく、将来的には、同じ二の舞になるのではないかと推測されます。
性同一性障害特例を改正するとなると・・・
人権にも反しますし、早くに撤廃するべきだと思っています。

自由が丘MCクリニック院長の大谷です

当院は、主に性同一性障害専門クリニックとして、GID学会認定医によるgidに関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。
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