性同一性障害gid・性別違和治療の倫理的問題点

性同一性障害gidの手術治療は、性自認とは異なる身体を改善させるという目的で行われます。

通常の一般的な手術というものは、悪い組織組織を切除することで障害されていた機能を回復せたり、身体を改善することと考えが異なります。

性同一性障害gid・性別違和の治療としての手術が、このような条件に当てはまらないという理由で、一般的に、医療従事者の間で、その手術治療に対して倫理的に異議を唱える声も少なからずあります。

特に、FTMの治療における産婦人科医にこのような考えを持っている医師が多いのが実情です。

性同一性障害gid・性別違和のある当事者を治療する医療従事者は、正常な解剖学的構造に、手術などを通して、身体に手を加えることについて、平常心でいられることが重要であることが前提です。

性同一性障害gidの手術がいかに性別違和のある個人の精神的な不快感や苦悩を改善するのかを理解するためには、当事者本人たちの症状、ジレンマ、それまでの人生に耳を傾ける必要があります。

実際に、「何よりも、患者に対し害を及ぼしてはならない」 (”above all do no harm”)というWHOの倫理憲章を理由に挙げて、性別適合手術(SRS)に反対する声があります。

性同一性障害gid当事者を尊重し、話し合うべきでしょう。

また、性別違和があることによって引き起こされる精神的苦悩や、適切な治療が拒否されることによって有害事象が引き起こされる可能性のあることも注意しなければいけません。

性同一性障害gid当事者自身から学ぶ機会が与えられることもあります。

性別違和を理由とする卵巣、精巣摘出を伴う内性器手術や胸オペ(乳腺摘出、乳房切除)の手術は、性同一性障害gidの人たちにとっては、他の一般的な手術とは異なり、単なる選択肢の1つではありません。

一般的に病気を治すための手術は、受診者と外科医の間で、数ある手術方法の選択の話し合いと同意された契約に基づいて行われるものです。

一方、性別違和に対する性器手術および胸オペ(乳腺摘出、乳房切除)は、医学的に必要な治療であり、ジェンダー医療に十分な理解がある医師によって評価が行われて初めて施行されるものでしょう。

ただし、これらの手術は特定の外科的治療ですので、ある一定の手順に従い、外科医、それにもちろん受診者自身が、身体への元に戻すことができない変化を加える手術であることを忘れてはならないでしょう。

※オンライン診療するにあたり厚生労働省の研修プログラムを受けています。

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このコラムを書いた人

性別不合(GI) 学会認定医/大谷伸久のアバター 性別不合(GI) 学会認定医/大谷伸久 自由が丘MCクリニック 院長

平成6年北里大学医学部卒業(医籍登録362489号)
国立国際医療センター、北里大学病院、順天堂大学医学部研究員などを経て、平成20年:自由が丘MCクリニック開業

当院は、主に性別不合(GI)専門クリニックとして、性別不合(GI)学会認定医による性別違和に関する診断、ホルモン治療、手術、そして、性別変更までのお手伝いをさせていただいています。

ホルモン治療、手術についてわからないことなどありましたら、気軽にLINE、またはメールからお問い合わせください。

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