FTMに対する男性ホルモンの影響はまだまだわからないことが多くあります。

男性ホルモンは、生物学的女性に対して想定をしていないからです。

FTMへの男性ホルモンについての質問は、普段の診療、海外医学文献からの情報を踏まえて随時お知らせしていきます。

当院に通っている方は、ご気軽にご相談ください。

もし、知りたいことがありましたら、メールでのお問い合わせもご利用ください。

質問内容は、実際に当院にメール相談された内容も含んでいます。

男性ホルモンを開始すると、身長は伸びるのか?

A. 二次性徴が終わってしまうと、骨の成長は止まります。身長もそこでストップということになります。そのため、成長が止まってから、身長が伸びたり、骨格に変化が起きることはありません。

ただし、筋力は鍛えれば、それなりに付きます。

男性ホルモンの副作用がどうしても心配です

副作用で問題になるのは、多血です。

漠然と注射し続けると、自分の体内のホルモン濃度が常に高すぎる場合があります。

とくに250㎎の容量は、通常の男性ホルモンの生理的基準値を超えることが知られています。

※この点、ネビドは一番のピーク濃度でも生理的基準値を超えることがありません。

濃度が高すぎると、血液内の粘度が高くなり、ドロドロした状態になるため、細い血管が詰まる可能性があります。

その他の副作用として、気にしなければいけないことは、コレステロール、中性脂肪も上がりやすいため、食生活も気をつけてください。

適切な医療機関のもとで、安全な範囲内で行えば、それほど心配することはありません。

男性ホルモンの効果は、どのようにして判断するのでしょうか

外見的な男性化を基準にするとよく、例えば、声が低くなる、髭が生えてくる、生理が止まる、顔が男っぽくなっているなどでしょう。

胸はなくならないので、胸オペしないと平らにはなりません。

また、注射の頻度が多くないか?容量は適しているかなどを調べるために、定期的にホルモン値を測定してください。

男性ホルモンの飲み薬は、FTM注射とどちらに効果があるか?

男性ホルモンの薬の種類に、個人輸入での飲み薬があると聞きました。

毎回クリニックに行く必要がなく、よさそうなのですが・・・。

A. 一般名は、メチルテストステロンといい、毎日飲むタイプのものです。小腸での吸収の問題があり、肝臓に対して毒性もあるため、一般的に男性にも使われません。

そのため、FTMの方にも勧められるものではありません。もちろん、個人輸入しない方がよいです。

FTMは、寿命が短いと聞きますが本当ですか?

FTMは寿命が短いか?

Q. 早く男性化したいが、FTM注射、FTMホルモンの頻度はどれくらいがよい?

A. 早く男性化したいのですが、250㎎を2週間に1回打っていますが大丈夫ですか?

海外では、250mgを2週に1回で注射することもあるようですが、外人とは体格も違います。

日本人には少し容量が多いかもしれません。

FTMは、本来生物学的女性なので、欧米人の男性が注射する薬は、日本人FTMにとっては多少濃度が高いと思われます。

FTM注射は、2週間に1回であれば250㎎でなく、125mgが望ましいでしょう。

2週間に1回125㎎の方が、テストステロン血液濃度は安定します。

個人差があるので、定期的にテストステロン濃度を測定して決めるのがよいでしょう。

多く打ちすぎると、身体を壊しては元も子もありません。短期に大量に打つと、頭の脳が萎縮すると言われています。

男性ホルモン治療を続けていて、急にやめても大丈夫?

A. なにかしらの事情があり、ホルモン治療をやめることは仕方のないことです。

急にやめてしまうと、ホルモンバランスが崩れて一時的体調も崩れることもあります。

対処法としては、現在注射している量を少しづつ減らしていくとよいです。

次第に、卵巣の機能が回復してくるので、女性ホルモンが分泌され始めれば、体調もよくなります。

内摘している方は、できるだけ男性ホルモン治療は続けた方がよいです。

Q. ニキビが増えたが何かいい治療方法ある?

A. ホル注を始めてからニキビがひどいです。どうすればよいですか?

FTMも同様に、男性ホルモンを投与していても、ニキビの治療は同じです。

市販薬は、医療機関で処方される薬より弱めです。

一度医療機関を受診することをお勧めします。
ニキビ薬のいろいろ

Q. FTMの男性ホルモンは、注射する場所によって効果が違う?

A. ネット情報によると、腕に打つと頭に行きやすので、お尻に注射するとよいと記載があったらしいです。注射する場所によって効果が変わることはあるのでしょうか?

注射する場所によって効果が変わることはありません。

男性化への効果は腕でもお尻でも同じなので、安心してください。

腕を使って仕事をされている方は、注射後に腕が重たるくなるひとがいますので、そのような方は、お尻がよいかもしれません。

Q. 男性ホルモン治療を始めたら、匂いをより感じることはある?

匂いに敏感になりましたが、なにか関係あるでしょうか?

A. たまにそのようなことを聞くのですが、実際の原因はわかっていません。

Q. FTMのホルモン治療は、ドーピングに関係しますか?

FTMで現在ホルモン治療していて、サッカーをしている方からの質問です。ドーピングひっかからないようにはできのでしょうか?

A. おそらく厳密な検査では、引っかかります。

体外から投与する男性ホルモンは蛋白同化ストロイドに分類されていて、どのスポーツ競技でも常に禁止されている薬です。

何かしら医療上必要な治療でも、事前にアンチ・ドーピング協会が承認していないと、禁止されている薬は使用できません。

もし、使用するとドーピング防止規則違反と判断されることがあるようです。
男性ホルモン治療を行っているFTMのスポーツ時の処遇

男性ホルモンを体外から補っているFTMは、治療目的にあたりますので、事前の手続きによって認められることがあるようです。

Q. FTMの男性ホルモン治療は、物忘れと関連性あるか?

男性ホルモンを打ち始めてから物忘れがひどくなった人からの質問です。なにかテストステロンと何か関係があるのでしょうか?

A. 閉経した女性が、記憶の保持が悪くなるという研究データがあります。

これは、エストロゲンがなくなることによる影響と考えられています。

FTMが男性ホルモン治療を始めると、卵巣の機能が低下することによって、女性ホルモンが分泌されなくなります。

このように、FTMの場合も、女性ホルモンの点からみると、若いFTMでも閉経状態と同じです。

もしかして、女性ホルモンが急になくなったことによって、記憶力が一時的に悪くなるのかもしれません。

Q. 多血症とは?

血液が標準以上に多い状態をいいます。

A. FTMの人も男性と同様に、男性ホルモンを打つと少なからず血液の量が多くなります。

多血の判断は、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリットなどを指標にします。

あまりに生理的基準値より高い場合は、容量を減らすか打つ間隔を伸ばすかにしましょう。

あまりに濃度が高すぎるのが長期に続くと、血液がドロドロになり細い血管が詰まることがあります。

Q. まわりに注射する場所がない場合

田舎で周りに男性ホルモンを打ってくれるところがありません。どうすればよいでしょう?

A. なかなか難しいですね。近隣のクリニックから遠くの「泌尿器科」までの診療圏で治療してくれるところを探してみましょう。

GIDの診断書がありFTMだというと、打ってくれるよう対応してくれるところもあります。

どうしてもダメな場合は、塗り薬もよいと思います。

飲み薬は、長期に飲むと肝臓の機能が悪くなることがありますし、効果もあまりなくお勧めできません。

当院では「ネビド」も導入しています。個人差はありますが、5~6か月ぐらい効果が持続するので、遠方の方はぜひご利用ください。

Q. 内摘(子宮卵巣摘出)後にも、絶対男性ホルモン治療をしないといけないか?

子宮卵巣を取った人からの質問です。男性ホルモンは今まで通り打てばよいか?止めてもよいのか?

A. 卵巣摘出後のホルモン治療
一般的に、卵巣を摘出した後、男性ホルモンが適応しない条件(禁忌)がみられない限り、男性ホルモン補充を生涯にわたって続けることになります。

こうした手術の後は、性ホルモンの量が低下するため、年齢に伴う調整や併存症の問題に配慮する必要があります。他の性腺機能低下症のように、一般男性が受ける男性ホルモン補充療法と極めて類似した治療になります。

250mgを注射している場合は、125mgに変更。125mgの場合は、注射する間隔を伸ばすとよいです。

若いうちは問題がないかもしれませんが、40,50歳になると骨が弱くなる骨粗しょう症になりやすくなります。

なるべく低濃度でもよいので、続けて注射することが大事です。

Q. 男性ホルモンは、一生打たないとダメ?

A. 女性の閉経と同じように、一般男性も壮年期を迎えると男性ホルモンが極端に少なくなります。
男性ホルモンが次第に減ってくる
FTMの方も、50歳以降になれば注射でなく、塗り薬(グローミンなど)でもよいかもしれません。

ネビドNebido注射についてのQ&A

男性ホルモン治療と甲状腺機能亢進症とは、関係性があるか?

Q. 男性ホルモン治療をこれからしたいのですが、現在甲状腺機能亢進症と診断されて、甲状腺ホルモンを下げるくすりを飲んでいます。甲状腺の病気を治療しながらホルモン治療しても大丈夫でしょうか?体へのリスクなどあったら教えてください?

A. 男性ホルモンが甲状腺に与える影響はありませんし、悪影響を与える報告はありません。ただ、治療に絶対大丈夫ということはないので、とりあえずは、数回注射してみて、甲状腺ホルモン値など測定するといいと思います。

クスリを飲んでいて、甲状腺ホルモン値も安定していれば、問題ないかと思われます。また、どうしても心配であれば、最初は短期型2~3週タイプの125㎎の男性ホルモンを注射することをお勧めします。

男性ホルモン治療しているのに、生理が来る原因は?

Q. FTMですが、男性ホルモンを注射しているのに、なぜ生理が来るのですか?

A. 生理が止まるしくみは、通常男性ホルモンの濃度が常に高くなってくると、卵巣の機能が落ちてくるからです。

卵巣の機能が落ちても、エストロゲンは多少分泌しています。

男性ホルモン治療していても生理が来る仕組み

卵巣自体が壊死(腐っている)しているわけではないので、たまに排卵してしまい、生理が来てしまうこともあります。

また、矛盾するようですが、男性ホルモンの血中濃度が高すぎると、女性ホルモン分泌が極端に少なくなります。

その結果、女性ホルモン分泌の低下が下垂体にフィードバックされ、卵胞刺激ホルモン(LH)の分泌を促すシグナルを出します。

その結果一時的に卵巣の機能が活発になり、逆に女性ホルモンが分泌されて、生理が来てしまうこともあります。

血液検査をしてみて、濃度が低い場合は男性ホルモン250㎎を2週間おきに注射する。

男性ホルモンの血中濃度が高すぎる場合には、低濃度の125㎎を注射して試してみるのもよいでしょう。

生理が来る場合の対処法

Q. 男性ホルモンの量や注射する間隔もいろいろ変えたのですが、生理がやはり止まりません。
A. 婦人科で一度検査してみることもお勧めします。

また、どうしても止まらない場合は、短期間、黄体ホルモンを内服する場合もあります。

男性ホルモン治療すると、FTMでも頭髪の薄毛、禿げるのか?

Q. 34歳のFTMです。最近薄毛に悩んでます。23歳から注射を打ち始め、内摘前は250を2週間で打ってました。今は3週間で250を打っています。薄毛の対策で125にしようかなと思ってます。

内摘後は基本1ヶ月125㎎でといろいろなサイトで書かれていますが、125は1~2週間とどのサイトも書いてて内摘しているしてない関係なしに薬が切れるスピードは変わらないんじゃないのかなと思って質問しました。

完全に切れてから打つことになっても多めに打つよりましなのかも聞きたいです。

A. FTMの内摘後の男性ホルモン治療の目的は、

  • 1 男性化を維持すること
  • 2 年を取ってから骨が弱くならないようにすること
  • 3 更年期症状にならないようにすること

毎月打つのが面倒なら、ネビドがよいでしょう。最低限の血液濃度が約5~6カ月維持できます。

理想的には、内摘後は最低限の男性ホルモン血液濃度で維持するのがよいです。

そのため、おっしゃるように、個人差はありますが、125はだいたい2週間でなくなってくることが多いです。なくなるスピードは、内摘の有無に関係ありません。

ただし、これを厳格にしてしまうと、125であれば2週間に1回打たなければなりません。内摘後であれば特に更年期症状など生じなければ、125を1か月で十分です。

このことは、テストステロンが体内に少なくなっても、更年期症状(顔がほっててしまうなど)など生じなければ1か月でも大丈夫かと思います。

もしくは最初調子悪くても低濃度に次第に慣れていきます。

当院では、内摘されたFTMのほとんどのひとには、125にするように勧めています。

内摘直後だと、ホルモンバランスが崩れるために125だと物足りず、この場合しばらくは250にしますが、次第に125でも大丈夫になります。

本当は、2週の時点でどの程度テストステロンが残っているか調べてみるとよいでしょう。

なくなっているひともいますし、結構な濃度が保たれているひともいます。

内摘が済んでいるFTMのひとは、生理も気にする必要ないですし、薄毛が気になる点を重視すれば、125にして、打つ期間をできるだけ伸ばした方がよいです。

これから長期に打つのですから、常に高濃度であるより少ない濃度で維持した方が身体にも頭髪にも負担になりません。

具体的な減らし方の方法ですが、急に減らすと、心理的なことも含め、調子が悪くなることがあるのかもしれません。

250を3週ペースで打っているなら、とりあえずは、125を2週あるいは3週にして、それを続けて2,3回行い、次に125を1か月と伸ばしていきます。

ダメなら、また戻すなど調節していきます。現在注射している主治医ともご相談ください。

以上のことから、生理がもう関係なくなったので、常に高濃度を保つ必要はないので、少ない量でもまったく問題ないです。

極端な話、毎日塗るのはたいへんですが、男性ホルモンクリームだけでも大丈夫なくらいです。

男性ホルモン治療を自分でしているが、血液検査だけできる?

Q. もし自分で男性ホルモンを個人輸入したら、注射や血液検査を受けれますか?

A. 当院では、個人輸入した注射液を注射していません。個人が輸入した薬が安全なものと保証できないからです。医療機関が輸入した薬に関しては、出所がはっきりしているので、問題がありません。

血液検査は、随時受け付けていますので、ご希望の場合はご連絡ください。

FTMは、男性ホルモンしないと骨が弱くなるか?

Q. 骨粗鬆症のスクリーニングは、家庭医か一般病院でも可能でしょうか?
A. 骨粗鬆症の骨密度検査は、一般的な家庭医で測定できるところはあまりないので、整形外科で測定を受けるとよいです。

Q. ぼくはFTMです。もし可能であれば、骨粗鬆症スクリーニングは、1年で何回行うべきでしょうか?
A. できるなら、男性ホルモン治療前、もしくは若い時期に1度測定するとよいでしょう。その後は、内摘後に1回、以降は10年おきでもよいかと思います。詳しくは、来院時にお尋ねください。

FTMの男性ホルモンの値は、1日のうちいつ測るとよい?

Q. FTMです。現在ホル注をしています。男性ホルモンの値を調べたいのですが、午前中に測定するとよいと書いてありました。午前中に測定した方がよいですか?

A. テストステロンは1日のうちで一定ということはなく、常に変動しています。これを日内変動と言っています。生物学的な男性は、午前中に値が高くなるので、午前中に採血することが多いです。

ただ、FTMの体内のテストステロンは、外部から補っているもので、体内で作られているテストステロンではありません。

そのため、午前中に高い低いはないので、いつ検査してもよいでしょう。

FTMは、ネビドをどれくらいの期間を置いて注射するとよいか?

Q. ネビドの注射を受けてからもう4カ月が経ちました。調子がいいのですが、次の注射をいつ受けたらいいのでしょうか?もし血液検査が可能であれば、それを受けて結果によって判断することは可能でしょうか?

A. 初回は4カ月の時点で、テストステロンの値を測定するとよいです。

通常の男性ホルモンの基準値の下限であれば、その時点でネビドを打ってもよいでしょう。

海外では、ネビドを通常3~4カ月で打つことが多いようです。

日本人は海外の人に比べて体格が小さいため、注射後3~4カ月時点でも男性ホルモンがまだ十分に残っていることが多いです。

そのため、個人差はありますが、5~6カ月に1回でもよいと思います。

Q. 現在エナルモン250mlを2週間に1度打っています。 5本目になります。

ネビドの情報を調べてみると、ホルモン治療を長年行なっている方がほとんどのようなのですが、始めてから数ヶ月の私がネビドを打っても問題はないのでしょうか?

またネビドへの移行はどの様に行えばいいのでしょうか?

A. 125や250を数回してからでも、ネビドに移行しても構いません。そのような方も結構います。

もし、ネビドを打ってみて、また戻すこともできます。

戻す方は、近いから定期的に来たいという方もいますし(お話がしたいからというひともいます)、一度に出ていくお金が大きいからという方もいます。

副作用に関しては、短期型とすべて一緒です。ネビドの方が悪いということもありません。 あえて言うなら、短期型に比べると「痛い」です。

現在、GID治療が進んでいるヨーロッパでは、FTMの方々は短期型125、250は使わず、ほぼネビドになっているようです。

FTMに対してのネビドの治療も10年以上の実績があり、海外の医学論文見る限りでは、 上記の通り、125,250と同様に、重大な副作用は報告されていません。

男性ホルモンを自分で打つことできるか?

Q. 遠方なので、男性ホルモンを病院から買って、自分の家で打つことは可能でしょうか?もし可能であれば、売ってくれますか?

A. 海外では、患者さんに指導して、自分で打つこともできるようですが、残念ながら、当院では注射液を販売して、自分で注射できるようには指導はしていません。

その根拠は、下記の薬事法にあります。

患者に適切な注意と指導の上、厚生労働大臣の定める注射薬に限り投与することができることとしています。

医師が処方して、患者さん自身が自宅で打てる薬は限られており、そのうち男性ホルモンはその中に含まれていません。

ただし、上記の条項も、保険診療についての記載のみであり、GIDに対するホルモン注射に関しては自費であるため、それが可能かどうか不明です。

当院では、念のため自費診療におけるホルモン治療も上記の定めたものに従っています。